日本人なら誰もが耳にした名曲を叩いた男

【ドラム界の重鎮 田中清司 x 昭和歌謡マニア 半田健人】昭和歌謡グルーヴ対談

【ドラム界の重鎮 田中清司 x 昭和歌謡マニア 半田健人】昭和歌謡グルーヴ対談

2018/11/12

田中:その前にNHKで「ステージ101」っていう東海林修さんが音楽監督をされた番組があって、俺とチーボーと松木(恒秀)と栗林さんが東海林さんに気に入られて東海林さんが監督の回は俺たちも出させてもらってたのね。そこに色んな歌手やミュージシャンが来るんだけども、その時に“大野克夫”さんも来てたのかな。

半田:大野さんが「ステージ101」の現場にいらっしゃったんですか!

田中:そこで大野克夫さんに気に入られて、そこからどんどん話が進んでいったのかな。

半田:丁度、「太陽にほえろ!」のオープニングを叩いてた原田(裕臣)さんが抜けるタイミングですよね。清司さんのミュージシャン人生を見ていくと凄くタイミングが良いですよね。時代が変わる狭間であったり、「結成するから来て」とか、「抜けるから来て」みたいな。なんか繋がっていってますよね。

田中:今から思うとそうだよね。

半田:その「井上尭之バンド」の後、80年代に入ってショーケン(萩原健一)さんのツアーのバックとかもされるわけじゃないですか。で、清司さんって南こうせつさんのバックもやられてたりとか、アーティストのコンサートツアーに行きながらもスタジオ業を並行してやるわけですよね。これ凄い激務ですよね。

田中:そうそう。よく考えるとね。

半田:マネージャーさんとかいたんですか。

田中:いや居ないの。全部一人で手帳見ながらね。

半田:間違えると大迷惑かけちゃいますよね。

田中:当時はインペグ屋さんっていうミュージシャンを集める会社が一杯あったんだけど、当時は俺らリズム隊を押さえるのが争奪戦みたいになっちゃって大変だったみたいね。リズム隊をしっかりキープしないとレコード会社から仕事がもらえなくなるから。

半田:でも会社が必死になるぐらい清司さんをはじめとするミュージシャンを欲しがってたわけですよね。

田中:そうみたいね。

半田:もう本当に清司さんってある意味ラッキーマンみたいなところがあって、日本レコード大賞を獲った曲で一体何曲、清司さんが叩いてたかって話ですよ。まず「襟裳岬」がそうじゃないですか。それから「勝手にしやがれ」「魅せられて」「雨の慕情」もそうですよね。それから「北酒場」か。もうそれだけで5曲レコード大賞の曲を叩いてるわけですよ。

田中:「長良川艶歌」もやったね。

半田:そうなんですか!じゃあ84年もそうですね。「北酒場」82年、「矢切の渡し」83年で84年「長良川艶歌」ですからレコード大賞連覇ですね!まぁすごいですよね。“田中清司”を使えばヒットするっていうジンクスが業界内であったっていうのはこれ事実ですよね。

田中:でも自分はぜんぜんそんな感じはなくて、来る仕事来る仕事をひたすら叩いてたね。

半田:録ってるときは何かわからない曲もありますもんね。

田中:うん。どの曲が「矢切の渡し」でどの曲が「長良川艶歌」かなんてわかんないわけ。

半田:レコーディングで叩いてる最中に「この曲は妙な曲だな?」って感じた曲とかあります?

田中:うーんとねぇ、やってる最中に「これどういうメロディなんだろう?」って思った曲は“山口百恵”の「プレイバック Part 2」だね。

半田:あれ難しいですよね。キメが多いし。

田中:仮歌もない状態だったからね。後から聴いて「あぁーこういうメロディだったんだ!」ってね。あれ大ヒットしたもんね。

半田:山口百恵さんのシングルに関してはざっくり言うと、おおかた清司さん叩いてますよね。

田中:おそらくね。「いい日旅立ち」とかね。

半田:かと思えば桜田淳子さんも叩いてますしね。叩いてない人がいないんじゃないかっていうくらいですよね。

田中:そうねぇ。

TEAC加茂:それではここで清司さんの参加した膨大な作品から、半田さんの持ち込みも含めて何曲かピックアップしたので試聴してみましょう!

【試聴した曲について】
沢田研二「勝手にしやがれ」を試聴

曲名 勝手にしやがれ
音源素材 iTunes
再生機材 PCからUD-505、AI-503、S-300HRを経て再生



半田:ばっちりですね。タイトに決まってるなぁ。キックがこの時代の歌謡曲にしてはすごく出てますよね。そしてジュリーの歌がうまいですねぇ

田中:ジュリーはねぇ、最初、井上堯之バンドで「合歓の郷」で合宿したんだよね。その時、宿舎からリハーサルステージまでカートで行くんだけど、たまたま沢田研二と二人で乗ったのよ。それでさぁ、俺「すごいステージの動き良いよな!」って言ったのよ。かっこいいからさ。そしたら「わたしはね、歌が上手くないから動きで魅せるしかないんですよ」って言うのよ。とんでもないよね。
 

半田:沢田さんってインタビューでも随所で歌が上手くないみたいなことを言うんですよ。これ冗談だと思うんですけど、コンサートでバラード歌ってる時に観客がワァーっていうと「うるさい!もっとヘタになるぞ!」って言ったりね。(笑)

田中:でも、こうやってちゃんとした環境で聴くとぜんぜん安定感あるよね。当時のナベプロで布施明とかさ、森進一とか、世間ではああいう歌い方がうまいって言われた時代じゃない。で、沢田研二はロックじゃない。だからコンプレックスもちょっとあったのかも知れないよね。

半田:本格派がまだいっぱいいましたからね。当時は。

田中:ちょっと高音伸ばして、そういうのがうまいみたいなね。でも今聞くとそういうものはもう無くなっちゃったわけじゃない。

半田:そうですね。魅力的なボーカルって言うかね。じゃぁ次はアイドルいきましょうか。キャンディーズで。これは僕のお気に入りで「その気にさせないで」をハイレゾ音源で。清司さんこれタイコめちゃくちゃ良いですよ。スネアが重くてね。

次のページ »

この記事の画像一覧

(全8枚) 大きなサイズで見る。

田中清司

田中清司

プロフィール
1948年1月1日生まれ。1963年ジャニーズジュニアでキャリアをスタート。その後、歌謡曲、ポップス、演歌、ロックなどジャンルを問わず、膨大な数のライブやレコーディングに参加。特に1970年代、1980年代は歴史的名盤と言われるレコーディングセッションに多数参加。吉田拓郎や井上陽水、矢沢永吉、長渕剛、南こうせつなどのロック、ニューミュージックやキャンディーズ、山口百恵などのアイドル、北島三郎や細川たかし、千昌夫など演歌、名探偵コナンなどのアニメなど枚挙にいとまがない。また70年代に活躍した井上堯之バンド、1980年代に活躍した大野克夫バンドでは数々の劇伴にも参加。「傷だらけの天使」や「悪魔のようなあいつ」などテレビ史に残る楽曲で田中清司サウンドを聴く事ができる。現在もライブ、レコーディングを中心に活動中。



半田健人
半田健人
プロフィール
1984年6月4日生まれ。「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」のファイナリストに選ばれたことがきっ かけで芸能界入り。2002年「ごくせん」第 5 話にて俳優デビューし、翌年には、“乾 巧”/仮面ライダーファイズ役で初主演を飾る。 俳優としての活動の一方で、「タモリ倶楽部」への出演を機に、 “高層ビル”好きで あることが知られるようになると、バラエティ番組等への出演を通じ、鉄道・昭和歌 謡といったジャンルへの造詣の深さも明らかにしていった。 2014年には自身初のオリジナル・フル・アルバム『せんちめんたる』をCD&LP 同時発売し、2016年秋、昭和歌謡と鉄道への愛が詰まった楽曲『十年ロマンス』を 提げ、ビクターエンタテインメントよりメジャー・デビューを果たした。 2017年秋に発売した、宅録歌謡曲アルバム『HOMEMADE』は、音楽誌「MUSIC MAGAZINE」の 2017 年 J-POP/ 歌謡曲部門ベストアルバム年間 1 位に輝いた。 そして、早くもセカンド・アルバム「生活」を2018年 5月にリリース。

オフィシャルサイト
https://www.wo-gr.jp/handa-kento/

スタイリスト
MASAYA

〈衣装クレジット〉
・ライダースジャケット ¥215,814(obelisk)
・Tシャツ ¥30,240
・パンツ ¥70,200
・シューズ ¥105,840
以上3点ともに(Roen/Roen Showroom)

〈お問い合わせ先〉
Roen Showroom (03-6419-5116?)
obelisk (03-5833-0737)

 

当日の試聴システム

フォノアンプ内蔵アナログターンテーブル
TEAC TN-570

TEAC TN-570"上質なデザイン"と"アナログターンテーブルとしての高い基本性能"の両立を設計コンセプトとし、従来のアナログオーディオ愛好家だけでなく、これから本格的にアナログオーディオを始めたいユーザーまで幅広く、レコードが持つ魅力を味わうことができるターンテーブル。美しい人造大理石をキャビネットに採用し、エレガントさと安定性を兼ね備えたアクリル製プラッター、回転数自動調整機構(PRS3)による高回転精度のベルトドライブ方式、光デジタルやUSBデジタル出力など、ハイスペックとスタイリッシュさを両立。ターンテーブルシートには静電気対策に定評がある和紙製のターンテーブル・シートTA-TS30UN-BWを使用。

価格:オープンプライス
(市場実勢価格:129,600円 税込)

https://teac.jp/jp/product/tn-570/top

USB DAC/ヘッドホンアンプ
TEAC UD-505

TEAC UD-505A4サイズのコンパクトな筐体に、長年培われてきたティアックのオーディオ設計ノウハウと、ハイエンド・オーディオの設計思想を凝縮させたデュアルモノーラルUSB DAC / フルバランス・ヘッドホンアンプ。ステレオ信号をよりピュアな状態で処理するデュアルモノーラル構成と、 旭化成エレクトロニクス社のフラッグシップD/Aコンバーター「VERITA AK4497」を左右に1基ずつ搭載、各々のDACをモノラルモードで使用することにより高S/N値を獲得し、DSD 22.5MHz やPCM 768kHz/32bitの ネイティブ再生も可能としたハイスペック機。またBluetoothレシーバーも装備しており、スマホ内の音源を気軽に楽しむことも可能。今回の試聴ではすべてのプレーヤーやPCをUD-505に接続し、オーディオシステムの中枢として使用。類まれなる音質だけではなく、使い勝手のよさでスムースに試聴音源を切り替えストレス無く音楽を楽しむことが出来た。

価格:オープンプライス
(市場実勢価格:159,840円 税込)

https://teac.jp/jp/product/ud-505/top

 

DSD/PCM
ハイレゾ音源再生対応CDプレーヤー
TEAC PD-501HR

TEAC PD-501HRパソコンなしでもハイレゾ音源再生が楽しめる、5.6MHz DSDディスクネイティブ再生対応CDプレーヤー。単体のCDプレーヤーとしても高い性能を誇っており、PCMファイル再生時は116dBのS/N比、118dBのダイナミックレンジを誇り歪率も0.0004%と高いパフォーマンスを誇る。心臓部であるディスクドライブには、独自に開発した振動抑制機構VACSを搭載し、ドライブの振動を効果的にコントロールすることで信号の読み出しを高精度化。DSDファイル(最大5.6MHz)やPCMファイル(最大192kHz/24bit)が記録されたDVD-R/CD-Rの再生にも対応し、お気に入りの曲をオリジナルのディスクに移してパソコンなしで楽しむという新しいリスニングスタイルも提案。

価格:オープンプライス
(市場実勢価格:47,800円 税込)

https://teac.jp/jp/product/pd-501hr/top
USB DAC/プリメインアンプ
AI-503
AI-503最大DSD11.2MHzまで対応のデュアルモノーラルUSB DAC搭載。Bluetooth(LDAC™/aptX™)にも対応したハイレゾDAP時代のプリメインアンプ。AI-503はICEpower社製の高出力パワーアンプを搭載。最大出力は4Ωで40W+40Wの出力はホームユースで威力を発揮する。
今回の試聴ではUD-505からコアキシャルケーブルでデジタル接続しパワーアンプとして使用。S-300HRとの組み合わせで、様々なフォーマットの音源を再生した。

価格:オープンプライス
(市場実勢価格:107,784円 税込)

https://teac.jp/jp/product/ai-503/top
 

ハイレゾ対応
コアキシャル2ウェイスピーカー
S-300HR

S-300HR独自のコアキシャル2ウェイユニットが生み出す優れた定位感と中域の表現力の高さで高い評価を得たS-300NEOをさらに進化させ、ハイレゾ音源の理想的なニアフィールド・リスニングをご自宅で実現するために設計されたハイレゾ対応のコアキシャル2ウェイスピーカー。コンパクトながら同軸2ウェイが持つ安定した定位と50Hz~50kHzというワイドレンジな再生能力を持つS-300HRは、小型スピーカーながら迫力のサウンドで田中清司氏のドラムサウンドの細かなニュアンスまでもダイナミックに再生した。

価格:オープンプライス
(市場実勢価格:53,568円 税込)

https://teac.jp/jp/product/s-300hr/top

 

関連する記事

PAGE TOP