日本を代表するギタリスト木村大とピアニスト榊原大が軌跡の融合

木村大×榊原大 デュオ・アルバム『Rosso Nero』インタビュー

木村大×榊原大 デュオ・アルバム『Rosso Nero』インタビュー

2018/07/03


今回3度目の登場となる今や日本を代表するクラシック・ギタリスト木村大と、インストで初めて紅白出場を果たした伝説のインストゥルメンタル・バンド「G-クレフ」のピアニストであった榊原大がクラシックの名曲を卓越した演奏テクニックで収録したデュオ・アルバム『Rosso Nero』をリリースした。ここでは、二人の出会った経緯、デュオでのアレンジ方法、そして選曲や編曲のこだわりについても熱く語ってもらった。

取材:斎藤一幸(編集部)

──木村さんの前回のアルバム『ECHO』では榊原さんも参加されていたわけですが、前回はバンドサウンドで、そして今回あえてデュオで制作しようと思った理由を教えてください。

木村:前回『ECHO』を発表してから榊原さんとツアーをしたんですね。30公演以上回っていたと思うんですけど、その中で榊原さんの弾くパフォーマンスから得られるイマジネーションに強いシンパシーを感じたんです。なので、今この瞬間で作れるものを何か形として残したかったんですね。お互いに30公演以上も回って、ライブを重ねて一緒に食事して酒を飲んだりしてるうちに自然とアルバムを作ろうかって話になったんです。

──榊原さんはどうだったんですか?

榊原:色んなミュージシャンと人生歩んでいて、一期一会じゃないですけど、そのままセッションしてまたっていうミュージシャンもいれば、今回の木村大のようにアルバム残そうかって言う場合もあって、簡単なようでそういう企画を実現するのは難しいし、難しいようで実は簡単だったり、どっちも考え方はありだと思うんですけどこうやって盤として残せたっていうのはすごく良かったと思いますね。

──その時演奏していた曲は今回のアルバムには入っているのですか?

榊原:無いですね。今回はほんとゼロから作ったっていう感じです。

木村:1〜2か月くらいで曲を決めてアレンジしてって感じでしたね。今まで朧気ながら考えていたアイデアをみんなで話し合ってそこから一気に形にしていきました。

──前回のインタビューで榊原さんに関するお話をされていましたが、その際にトップの音がぶつからないようにメロディより上の音を出さないような音作りを心掛けたとありましたが、今回バンドサウンドからデュオに変わってそのあたりはどうでしたか?

木村:ケースバイケースではあるんですけど、榊原さんと今回のアルバム作って一番重要視したのが、メロディラインがしっかりくっきり際立つようなアレンジをお互いにしていくという部分でしたね。一番最初に決めていたルールというか暗黙の了解みたいなところはありました。

──では、そこはもう時間をかけずに曲のアレンジに入っていったという感じですか。

榊原:でも実際にはかなり弾きましたね。

木村:そうですね。榊原さんの自宅のスタジオがあって、そこでもうプリプロに近い形でずっと弾いてたんで。

──ということは結構プレイしながらアレンジを変えていったと?

榊原:そうですね。お互いに探りながら。

──今回、榊原さんはアコースティックピアノの他にトイピアノやメロディカも弾かれていますが、レコーディングは一発録りですか。アコースティックピアノとほとんど音が重なっていないようですが。

榊原:あれは全部後から入れてます。ライブでやりやすいように同時には入れてないんです。

木村:今回のアレンジ自体が、ほとんどライブで実現可能なように作ってますね。

──あまりに掛け合いのタイミングが絶妙なので一発録りかと思いました。ではパート別で録音する場合はどちらが先に録るのですか?バッキング側ですか。

榊原:ベーシックを予め二人で録るんですね。それを直していく感じです。だから基本一発録りと言われればその通りなんですよね。

木村:だから0から100まで綿密なリハーサルをしてレコーディングに入ったんですね。

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木村 大 × 榊原 大
『Rosso Nero』
KING RECORDS
2018年6月6日(水)発売


Rosso Nero
CD
KICC-1456
¥3,000+税

【収録曲】
01.Invention No.4,BWV775
   インヴェンション第4番 BWV775
   (Johann Sebastian Bach)
02.Tango En Skai
   タンゴ・アン・スカイ
   (Roland Dyens)
03.Asturias -Suite"Espanola"
   アストゥリアス~組曲「スペイン」より
   (Isaac Albeniz)
04.Violin Concerto"The Four Seasons"Op.8,No.2 "Summer"3rd Mov."Presto"
   ヴァイオリン協奏曲集「四季」~「夏」第3楽章 プレスト(夏の嵐)
   (Antonio Vivaldi)
05.Waiting For You On The Hill Of Nemophila
   ネモフィラの丘であなたをまつ
   (Dai Kimura)
06.Romance (from The Film"Jeux Interdits")
   愛のロマンス~映画『禁じられた遊び』より
   (Anon)
07.Arabesque No.1 -Deux Arabesques
   アラベスク第1番~「2つのアラベスク」より
   (Claude Debussy)

08.El Futuro
   エル・フトゥーロ
   (Dai Sakakibara)
09.Piano Sonata No.8,Op.13"Pathetique"2nd Mov.
   ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」第2楽章
   (Ludwig Van Beethoven)
10.One Summer's Day (from The Film"Spirited Away")
   あの夏へ~映画『千と千尋の神隠し』より
   (Joe Hisaishi)

木村大 Dai Kimura (Guitar)
榊原大 Dai Sakakibara (Piano,Toy Piano,Melodica)

Recorded on 7,8,16,24 April,2018@KING SEKIGUCHIDAI STUDIO
【コンサート情報】

「木村大×榊原大 デュオ・アルバム『Rosso Nero』発売記念ツアー」
2018年
■7/21(土)山口 山口市大海総合センター(らんらんドーム)
■7/26(木)名古屋 NAGOYA Blue Note
■7/27(金)大阪 ザ・フェニックスホール

■8/24(金)和歌山 デサフィナード
■8/25(土)三重 鈴鹿・どじはうす
■10/18(木)東京 浜離宮朝日ホール
■10/19(金)石川 金沢市アートホール
■11/27(火)北海道 札幌コンサートホールKitara小ホール

2019年
■1/19(土)岡山 岡山シンフォニーホールイベントホール
■1/20(日)広島 三原市芸術文化センターポポロホワイエ
木村大

木村 大(Dai Kimura)
1982年、茨城県生まれ。5歳より父、義輝に師事、ギターと音楽理論を学ぶ。小学1年で第13回GLC全国学生ギターコンクール小学校低学年の部優勝。1996年、世界水準と言われる第39回東京国際ギターコンクールで優勝。1996年、1997年2回にわたり茨城県知事賞受賞。この年バルセロナ音楽祭に招待されヨーロッパデビュー。17歳でソニーよりCDデビュー。アルバム『ザ・カデンツァ17』『駿馬』『アランフェス』を発売。デビューアルバムがクラシックでは異例の5万枚を超える大ヒットを記録。2001年2月、第11回新日鐵音楽賞フレッシュアーティスト賞を受賞。スペイン王立セビリア交響楽団全国ツアーにソリストとして参加。2002年4月より英国王立音楽院に留学、帰国第一弾として2004年3月、NHK交響楽団と3夜連続共演。11月、第1回ベストデビュタント賞(音楽部門)を受賞。アルバム『カリフォルニアの風』(2005年)、『ロンドン・エッセイ』(2006年)、『INFINITY mugen-DAI』(2009年)発売。2013年3月にキングレコード移籍第一弾となるアルバム『HERO』を発表。同年7月に初の教則DVD『木村大クラシック・ギター・レッスン』、2014年アルバム『ONE』、2016年『ECHO』をリリース。唯一無二のギタリストとして、今後のさらなる活躍が期待されている。

オフィシャルサイト

榊原 大

榊原 大(Dai Sakakibara)
1967年生まれ。4才よりピアノを始める。東京芸術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒。大学在学中にG-CLEFを結成。アルバム『Pell-Mell』でデビュー。卓抜した音楽性、演奏力をベースにフュージョン・インストゥルメンタルのフィールドを開拓し、インストゥルメンタル・ バンドとしては初の紅白歌合戦出場を果たすなど、多彩な実績を残す。バンド解散後も、その幅広い音色とジャンル不問の卓越したセンスは、葉加瀬太郎、松田聖子、姿月あさと、河口恭吾、森口博子など数々のアーティストのサポートやアレンジワークで発揮される。2001年から本格的にソロ活動をスタートさせ、ソニーレコードから6枚のオリジナルアルバムを発表。bayfm他11局のラジオパーソナリティを務めるなど活動が多岐に渡る。また、映像音楽の分野でも、NHK連続テレビ小説『ファイト』(2005年)、日本テレビドラマ『ブルドクター』(2011年)、映画『あいときぼうのまち』(2014年) など数多くの音楽を手掛け、その他、テレビ朝日系列『ANNニュース』『ワイ ド!スクランブル』テーマなどでも楽曲を提供している。キングレコードに移籍後、アルバム『Seeds Of Life』(2012年)、『Dear Classix』(2014年)、『Dear Love Songs』(2015年)を発表。最新作は初のベストアルバム『My Road~Best Of Dai Sakakibara~』(2017年)。

オフィシャルサイト

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