J-POPのヒット曲から学ぶ
アレンジ/編曲の方法を分析!(椎名林檎「ここでキスして。」)
アレンジ/編曲の方法を分析!(椎名林檎「ここでキスして。」)
2015/12/21
ここではロックからポップス、ダンス系まで、様々なジャンルのヒット曲を例に、それぞれのアレンジの耳を引くポイントを分析していきます。また、各ポイントのフレーズを試聴できるので、記事を読みながらアレンジのコツがつかめます。
※ここでは、すべての曲を「キ=Cメジャー」に置き換えて解説しています。また、メロディは参考曲にインスパイアされて作ったオリジナルフレーズです
※ここでは、すべての曲を「キ=Cメジャー」に置き換えて解説しています。また、メロディは参考曲にインスパイアされて作ったオリジナルフレーズです
曲の魅力を最大限に引き出す抜群の構成力 (BPM=86)
「ここでキスして。」は椎名林檎の初期の代表曲ですが、その個性的なアレンジは見事です。サビの美しいメロディをいきなりアカペラで歌った後に入ってくる気だるい雰囲気のストリングスが耳を引きます。また、フワフワしたAメロとBメロのジャジーなコード進行の後に転調して、もう一度サビが出てきた時には、このサビのメロディに安心感さえ感じます。各セクションの間でも頻繁に転調が行なわれていますが、それが違和感なく、聴くたびにフレッシュに聴こえるのもポイントです。メロディの良さを曲構成の妙でさらに引き立てている好例です。
イントロ 重厚な「7thコード」のストリングスフレーズが意外性を生む(0:12~)

アカペラに引き続いて奏でられる、ほんの2小節ほどのイントロのストリングスは、その緊張感のあるフレーズが印象に残ります。アカペラ部分のメロディと関係のない「C7」のコードが突如登場し、さらにフレーズ自体が7thの「シ♭」から始まるのでその効果は絶大です。また、オクターブを重ねることで重たさを出しながら、次の浮遊感のあるAメロにつなげて意外感を出しています。
Bメロ 5度進行を使って難しい転調を自然に聴かせる(0:57~)

転調をする際のポイントは、違和感を感じさせずに自然に別の調に移ることです。これがうまくいかないと、取って付けたような転調になります。Bメロのキーは「B♭マイナー」ですが、サビで「Cメジャー」に転調するために、Bメロのラストで大胆なテクを使っています。Cメジャーへ自然に行けるコードである「Gメジャー」をBメロのラストに持ってくるために、まずは「Am7(♭5)→ Am7onD」とベース音を5度で動かして、そこからさらに、Gメジャーへ5度で転調させています。
サビ 歌のバックを強力に支える予想外のベースフレーズ(3:29~)

ギターソロの後に登場する、音量を抑えたエレピとストリングス、リズムのみというほぼアカペラで歌われる部分の後半では、サビの繰り返しでベースが絡んできます。普通は白玉(全音符)などで穏やかに弾きがちですが、ここでは何と高音弦で16分音符で細かく半音を弾くフレーズになっています。しかも、最初の2小節はコードが変わってからも同じ半音のアプローチを続けていて、どこかクラシックのバロック音楽のような雰囲気もあります。思い切ったベースのアプローチが曲を際立たせる好例です。
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