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NEWアルバム「RAINBOW」を7月21日にリリースしたDEZERT、初のZepp Haneda公演からツアーをスタート!

NEWアルバム「RAINBOW」を7月21日にリリースしたDEZERT、初のZepp Haneda公演からツアーをスタート!

2021/07/27

DEZERT

写真:西槇太一

DEZERT

 

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DEZERT

 

7色である、ということが何時の頃からか日本では当たり前となっている虹。しかし、かつての沖縄地方では虹を2色と表現するケースもあったそうであるし、国や地域や時代の違いによっては6色・5色・8色と、虹は我々が思っている以上にさまざまな捉え方をされて来ているものらしい。
 
「あんたらの色は何色だ?自分の望んだ色で生きろよ!!」 その名も『RAINBOW』と題した7曲入りの新音源を7月21日に発表したばかりのDEZERTが、このたび久々の全国ツアーとなる[DEZERT LIVE TOUR 2021 RAINBOW -カメレオンは空を見上げて笑えるか?-]をZepp Haneda公演から開始したのだが、そのステージ上にてフロントマンの千秋が1曲目の「「絶蘭」」を歌い終え、そこから2曲目の「カメレオン」を歌い出す直前に場内へ向けて威勢よく放った言葉が前述のこれだった。
 
今年の5月に始まった[密室会議2021〜換気はします!〜]を感染対策を講じながらまた、途中延期をしながら東名神を駆け抜けただけに、彼らとしてもオーディエンスに対して“伝えたいこと”が溜まりに溜まっていたのはまず間違いないだろうが、いきなりここで斬り込むように投げかけられた千秋からの問い掛けは、結果としてこの夜のライヴの着地点にも繋がって行くものとなったのではないだろうか。
 
SORAの叩き出す、確かな律動が強い推進力を生んでいた「Your Song」。Sacchanの生み出すグルーヴが、ルードなロックンロールの音像をスパイシーに引き締めていた「殺されちゃう」。Miyakoの紡ぎ出す、表現力豊かなギターワークが楽曲の持つ優しさと良い意味での不安定さを見事に演出していた「あなたのそばにいる」。千秋ならではの語り口で、いわゆるラップともポエトリーリーディングとも違う、なかば演説的なヴォーカリゼイションが鋭い滑舌をもって繰り広げられた「デザートの楽しいマーチ」(特に2コーラス目以降は音源とは内容が少々違っており、このあたりは今後もアドリブ要素が含まれてくる予感がする…!)などなど。これら最新作『RAINBOW』の収録曲たちが呈示されていった場面はもちろんのこと、随所にはさまれていた昔からのファンやコア層に人気の高い「包丁の正しい使い方〜実行編〜」や、季節外れながらに初期の名曲としてこの夜も印象深く響いた「さくらの詩」といった曲でも、DEZERTは彼らにしか生み出せない情景をそれぞれに描き出してみせたのだ。
 
ちなみに、この日のライヴの1曲目で演奏された「「絶蘭」」も元をただせば2013年発表のアルバム『特製・脳味噌絶倫スープ~生クリーム仕立て~』に収録されていたものとなるが、最新作『RAINBOW』を発表したばかりの全国ツアー[DEZERT LIVE TOUR 2021 RAINBOW -カメレオンは空を見上げて笑えるか?-]の初日に、わざわざこれだけ過去曲を引っ張り出してきたことには、それなりの理由があったものと筆者は勝手ながらに推測する。
 
何故なら、近年の彼らは作品を出すたびにその成長度合いが著し過ぎるせいなのか、古参ファンの間を中心にして「DEZERTは変わってしまった」だとか「DEZERTは売れようとしている」などと評されることが増えたのだとか。とはいえ、こうしてライヴの場で新旧の曲たちが一堂に会したとしても、そこに不自然な矛盾が生まれることは決してないわけで、彼らとしてはあらためてそこを明確に証明したかったところもあったのではないか、と感じた次第なのである。
 
くわえて、そのことは本編後半戦にてこれまた初期からの曲である「脳みそくん。」と、最新作『RAINBOW』に収録されている「脳みそが腐る」の2曲が連打されたくだりからも感じ取ることが出来たはず。「俺もう30になんねんけど、10年前にDEZERTを始めた頃、よくSacchanに言ってた。「俺って天才じゃね?」って。でも、その気持ちは毎年、毎年、俺の中でちっちゃくなってる気がしててさ。まぁ、こんなことはこんな場で言うことじゃないのかもしれへんけどな。(中略)そして、2019年にやったクアトロ(年末恒例企画ライヴ[くるくるまわる -2019])で、俺は「2年後、武道館やります」って言ったのに、また嘘ついちゃった。許してくれるか?今日だって、ほんとはもっといっぱいの皆が来てくれるはずだったんやけどね。でも、決意だけは言うよ。DEZERTは絶対に!武道館やるから!!」
 
千秋のこの言葉に、場内から拍手喝采が巻き起こったことは言うまでもない。それはままならぬ現実や、見えない障壁に対し敢然と立ち向かおうとするDEZERTの姿勢に対する賞賛と激励そのものだった。「だから、要するに何が言いたいかっていうとさ。俺らは何時かまたあんたらと「生きてて良かった」って思えるそんな夜を探したいんだけど、っていう歌を今から歌わせてください。何時だってはじめの1歩。じゃあ、今日の俺たちはこれを武道館への1歩にしようか。おまえたちも1歩ここで踏み出してくれよな!自分たちが生まれ持った色を誇りに思って、逃げずに進もうぜ!!」
 
ここで聴けたのは、今やDEZERTにとっての代表曲となった「TODAY」。彼らの本気と本音がこれでもかと託されたこの歌には、これまでも幾度となく魂を揺さぶられてきたものの、今宵のそれは何時にも増して強い説得力を持っていたと断言出来る。「今が苦しい人。未来が不安な人。過去に縛られてる人。すっげー汚いヤツ。すっげー綺麗なヤツ。どうか一緒に愛を歌ってくれ。DEZERT、10年目。あれだけ「死ね死ね」歌ってたヤツらが今、本気で虹を架けようとしてます。虹なんてもんはすぐ消えちまうから、消えたらまた1個、また1個架けていけばいい。どんなでもいい、どんな色でもいい。色はおまえたちで決めてくれ。「ミザリィレインボウ」!!」
 
先ほどの「TODAY」では7色で鮮やかに彩られていたライティングが、本編最後を締めくくることとなったこの曲で一気にまばゆいほどの白色1色になった理由。それは、この「ミザリィレインボウ」の詞の内容を噛みしめれば非常に合点のいくものだった。光の色は、重ねれば重ねるほど白へと近付いていく。つまり〈違いを赦して 違いを愛して 互いを照らしてくれ レインボウ〉というこの詞を具現化したのが、あの白き光に包まれた舞台上の光景だったわけだ。ただただ明るく晴れ上がっただけの空に、美しい虹が架かることはない。未知なるウイルスの出現を切っ掛けにして、人々の心が無残にも分断され、傷つけられてしまったこのシビアな現実の中だからこそ、この「ミザリィレインボウ」は我々の心の中に希望への橋を架けてくれるのではなかろうか。
 
分断の進む世界を取り繕うとするかのように、“多様性と調和”という言葉がもてはやされるようになっている昨今において、キレイゴトをさも正論かのように乱暴なかたちで振りかざすのではなく、キレイゴトの美しさと危険性、キレイゴトの儚さや脆さを重々に承知したうえで、敢えてキレイゴトと真摯に向きあおうとするDEZERTのスタンスは、とても尊いものだと思える。故に、彼らの架けるもっと大きな虹を見てみたいのだ。今の彼らなら、きっと8月29日の名古屋ボトムライン公演まで続いていく今回の[DEZERT LIVE TOUR 2021 RAINBOW -カメレオンは空を見上げて笑えるか?-]の中で、7色ではとてもおさまりきらないくらいのまばゆい空間を、各地にてさまざまに生み出していってくれるに違いない。
 
文:杉江由紀

DEZERT LIVE TOUR 2021
RAINBOW -カメレオンは空を見上げて笑えるか?-

2021年7月23日(金・祝) Zepp Haneda

SETLIST
01 「絶蘭」
02 カメレオン
03 MONSTER
04 Your Song
05 殺されちゃう
06 包丁の正しい使い方~実行編~
07 あなたのそばにいる
08 さくらの詩
09 蝶々
10 デザートの楽しいマーチ
11 神経と重力
12 脳みそくん。
13 脳みそが腐る
14 「死刑宣告」
15 「君の子宮を触る」
16 「遺書。」
17 TODAY
18 ミザリィレインボウ
En1 「殺意」
En2「切断」
 
 
≪ライヴ情報≫
■DEZERT LIVE TOUR 2021 / RAINBOW -カメレオンは空を見上げて笑えるか?-
7月31日(土) 新潟:GOLDEN PIGS RED STAGE
OPEN 17:00 / START 17:30 (問) FOB新潟 025-229-5000
8月1日(日) 長野:CLUB JUNK BOX
OPEN 16:00 / START 16:45 (問) FOB新潟 025-229-5000
8月14日(土) 埼玉:HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3 ※SOLD OUT
OPEN 17:00 / START 17:30 (問) HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
8月15日(日) 千葉:柏PALOOZA ※SOLD OUT
OPEN 17:00 / START 17:30 (問) HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
8月21日(土) 大阪:梅田CLUB QUATTRO
OPEN 17:00 / START 17:30 (問) キョードーインフォメーション 0570-200-888
8月22日(日) 岡山:CRAZYMAMA KINGDOM
OPEN 17:00 / START 17:30 (問) YUMEBANCHI 086-231-3531
8月28日(土) 静岡:浜松窓枠 ※SOLD OUT
OPEN 17:00 / START 17:30 (問) サンデーフォークプロモーション静岡 054-284-9999
8月29日(日) 愛知:名古屋ボトムライン
OPEN 17:00 / START 17:30 (問) サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
 
【チケット料金】
・7月31日新潟、8月1日長野、8月22日岡山、8月29日愛知 前売¥5,000(税込)<立ち位置指定>
・8月21日大阪 前売¥5,000(税込)<座席指定>
※入場時ドリンク代別途必要
※営利目的の転売禁止・未就学児童入場不可
 
【チケット発売中】 https://eplus.jp/sf/word/0000054457
※イープラスのみ販売、各公演お1人様2枚まで、スマチケのみ(分配可)、同行者登録有り

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