[一ノ瀬千秋 単独公演〜ひとりじゃできないもん!2021〜ゲストミュージシャン:DEZERTな皆様]

DEZERT、2021年3月2日に渋谷TSUTAYA O-EASTで千秋の誕生日ライヴを開催!

DEZERT、2021年3月2日に渋谷TSUTAYA O-EASTで千秋の誕生日ライヴを開催!

2021/03/05

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春の嵐が関東に訪れていたこの日。渋谷TSUTAYA O-EASTにて開催されたのは、[一ノ瀬千秋 単独公演〜ひとりじゃできないもん!2021〜ゲストミュージシャン:DEZERTな皆様]と題されたライヴだ。ちなみに、この[一ノ瀬千秋 単独公演~ひとりじゃできないもん!]シリーズは、ここ何年かで定例化しつつある千秋の誕生日ライヴで、その内容はDEZERTとしてのライヴとは明らかに一線を画するものとなる。

DEZERTのフロントマン・千秋が、一ノ瀬千秋としてステージに立ち、DEZERTのメンバーを従えながら“今その時に最も歌いたい曲を自由に披露していく”という、いわば年に一度の誕生日特権をフルに駆使した、千秋の千秋による千秋のための特別な単独公演。当然これは、ファン側にとっても普段とは少し違う貴重な音楽体験が出来る場として機能しているとも言えよう。 しかも、今宵の公演についてはなんと唐突に聴き覚えのない新曲が歌われるところから始まる、という予想外の展開とあいなることに。

次に続いた「みぎて」と「天使の前頭葉」こそDEZERTの楽曲でたちはあったものの、冒頭から少し面食らってしまったオーディエンスも多かったに違いない。「皆さん、いきなり「1曲目、知らんし」となったと思いますけど(笑)。あれは僕が作った「明日暗い月が出たなら」という曲です。つまり、DEZERTではない“僕の曲”ですね。作って僕のパソコンの中にしまってあった曲を、今回の単独公演ではやってみようと思いまして。そして、2曲目と3曲目はDEZERTのカバーでしたが、今日はDEZERTの曲も最近のライヴであまりやらなくなってしまったものを中心にやっていうこと思います。ただ、今日はあくまでも僕のソロコンサートです。どうですか? O-EASTでソロって。成長したよね(笑)」なお、この日に関しては“DEZERTな皆様”が千秋の誕生日に対する祝意を見事に体現していた点も注意すべきだった点で、SORAは影アナとして開演前の諸注意をウグイス嬢としてキュートかつフェミニンに朗読していたほか、Sacchanは本格的なアフロのウィッグで登場することにより主役の千秋を食うぐらいのインパクト大な存在感を発揮していたことも付記しておこう。(Miyakoは何時にも増しての静かなる微笑み王子ぶりが素敵だった!)

また、“DEZERTな皆様”はバックミュージシャンとしても素晴らしい活躍ぶりをみせており、SORAは静寂の中にその場を包み込む暖かいビートを刻み、Sacchanは楽曲によりベースだけでなくキーボードも操りつつバンマスとしての才覚を呈示。さらに、Miyakoは普段遣いのテレキャスに加えアコギも繊細に鳴らしており、全体的に完全なるアコースティックライヴとはいかないまでも、各楽曲をしっとり・じっくりと聴かせる環境を生み出してくれていた。

「さて。ちょっと、ここで渋いカバーをしてみようかな。皆からしたら世代的に知らない可能性はありますけど、僕もこうして年齢を重ねてきましてね。やっぱり、ひとりの人間として愛というものについて考えるところに行き着くわけですよ。っていうことで、リスペクトの気持ちと共に愛の曲を歌います」

ここで千秋が選曲していたのは、斉藤和義の「歌うたいのバラッド」。この場面だけでもそこそこ意外だったのだが、この後にはライヴ中盤にてペンタゴンの眠花をゲストベーシストに迎え(この間、Sacchanにはキーボードに専念にしてもらう意味があったそうだ)、ビリー・ジョエルが1978年に発表したバラード「Honesty」とビートルズが1970年に発表した名曲「Let It Be」を、原曲通りの英語にて千秋が熱唱する一幕も。なんでも、最近の千秋は「昔だったら聴こうとしなかった」1970年代や1980年代の音楽を好んで聴いているそうで、ビートルズの解散後にジョン・レノンがソロ作品として1971年に発表し、この数十年というもの世界各国で平和を願う歌として親しまれてきた「Imagine」は、この後SORAのキーボードと千秋の歌だけで表現されたのだった。「今日は良い機会なので、今後のDEZERTについても僕の口から話をしたいと思います。

去年から延期になってて今度の5月にやるはずの全国ツアー[DEZERT 2020 TOUR/天使の前頭葉]なんですが、ちょっと厳しくなってきたかもしれなくて。もはや、『black hole』(2019年11月発売の最新アルバム)が幻と化してるよね。(中略)もう時間が経ち過ぎてて、今は逆にもう新しいものを作ってるんですよ。何時までも引きずっててもしょうがないでしょ?多分、あのアルバムはそういう運命だったんだろうね。だから、あれは“いつか”やろうよ」 千秋の単独公演ではありながら、ここで語られた言葉は率直にDEZERTの現在を伝えてくれるものとなっていたはずだ。「俺らもワガママだからさ。コロナのことが出て来てから、基本的には配信ライヴとか全然やって来なかったのね。(注・昨年11月23日に行われた有観客ワンマン[DEZERT SPECIAL LIVE 2020 “The Today” ]のみが配信も行われていた)

そして、皆さんからもいろんな声をいただきましたよ。「活動の足しになるなら、グッズを出してください」とか。だけど、そう思わせる時点で俺らはまだダメだなと思ったんです。だって、ローリングストーンズに対して「コロナで大変そう」とかって心配とかする?そうはなんないよね。そうか、俺らはまだまだ心配されるレベルなんだなぁってプライドが傷ついたわけ(笑)。でも、だからって今さら配信ライヴっていうのもねぇ。(中略)

そんなわけで、とても心苦しいとこはあるけど一回ツアーのことは忘れてください」一応補足しておくと、現状では「完全に春のツアーが中止」となったわけではなく、何らかのかたちでの動きが起こる可能性も無いわけではないとのこと。ややまどろっこしい書き方にはなってしまったが、詳しい続報は随時オフィシャルサイトやオフィシャルSNSなどでチェックしていただきたい。さて。いよいよ宴もたけなわとなってきた頃にここぞというタイミングで我々に向け供されたのは、春の嵐が訪れていたこの夜にこそふさわしいDEZERT流の春の歌としてファンの間で根強く愛されている「さくらの詩」だったのだが。再び眠花を呼び込み演奏された「Breath」(2005年に出たKinKi Kidsのアルバム『H album -H・A・N・D-』に収録されていたシンガーソングライター・河口恭吾氏が提供した堂本剛のソロ曲)や、『black hole』に収録されていた「I'm sorry」などが丁寧に歌われていった中で、この一ノ瀬千秋・単独公演を締めくくったのは、昨年5月に千秋がこれまた一ノ瀬千秋の個人名義でYouTubeにアップロードとしていた「steady」にほかならなかった。〈大事なものを忘れてゆく 卑怯な世界で 誰かの 誰かにもなれたら 生きてゆけるかな〉というその含蓄ある歌詞と、あたたかな温度感をたたえたアコースティックサウンド…。

この場に響きわたった千秋の歌はどこまでも心地よく、どこまでも愛おしかった。一ノ瀬千秋という人物がこの世に生まれてきたことに対しての尊さを感じた、春の嵐の夜。終演後、そんな気持ちの余韻を噛みしめながら外に出ると雨はもう止んでいた。
 
 
「CHIAKI BIRTHDAY LIVE/一ノ瀬千秋単独公演~ひとりじゃできないもん!2021~ゲストミュージシャン:DEZERTな皆様」
2021年3月2日 TSUTAYA O-EAST SETLIST
 

1. 明日暗い月が出たなら
2. みぎて
3. 天使の前頭葉
4. 歌うたいのバラッド
5. 異常な階段
6. Ghost
7. Honesty
8. Let It Be
9. Imagine
10. さくらの詩
11. Breath
12. ともだちの詩
13. 春夏秋冬
14. I’m sorry
15. Steady
 

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