DTMビギナーに最適なモデルの実力をプロエンジニアがチェック!

10万円未満の注目オーディオインターフェイスを徹底レビュー

10万円未満の注目オーディオインターフェイスを徹底レビュー

2019/08/15


 

ここでは初心者の方にも手に入れやすい5万円以下の製品も含めた人気モデルを、Studio 21の敏腕エンジニア、堀 豊さんに試聴してもらいました。普段はハイスペックな機材で作業を行なっているプロが、いつも使っているスタジオ環境で音質を検証してくれました。

取材:平沢栄司 写真:小貝和夫

※本コンテンツは音楽雑誌「サウンド・デザイナー」(2019年8月号)より抜粋したものです。
詳しくは、サウンド・デザイナー公式サイトをご覧ください。

 


フォーカスライト伝統の音質を受け継いだコスパ抜群の小型モデル

フォーカスライト
Scarlett 2i2 3rd Gen

¥17,400
問:㈱キョーリツコーポレーション
https://kyoritsu-group.com/support/contact_us-2/
https://kcmusic.jp/focusrite
 

 

まず、数年前の低価格帯の製品とは比較にならないくらい、音がいいことに驚きました。フォーカスライトらしい空気感を残しつつもソリッドな印象で、ジャンルを問わず使えると思います。特に高域が気持ち良く伸びるのが特徴で、ローがドッシリしたニーヴサウンドとはまた違った魅力があります。歌なら子音の部分がキレイに録れますし、アコギはキラッとしたところがしっかり録れました。エレキギターの場合、高域が出ていると音が細くなりがちなんですが、本機はジャキッとした輪郭の部分が残ります。

それと、インプットにAIRというスイッチが付いているんですけど、これをオンにするとさらに高域がクッキリと広がって、音に高級感が付加されるんですよ。ただ、AIRは必ずオンにした方がいいということではなくて、キャラクターが異なる2つのマイクプリを選ぶような使い方をするといいと思いました。例えば、メインボーカルではAIRをオンにして、バックコーラスはオフにすれば、同じマイクを使っても質感が変えられます。

このAIRはギターを録音する時も利用できて、オン/オフでアンプシミュレーターの鳴りがガラリと変わってきます。なので、実際に耳で聴いてみて、ソースや自分がイメージしている音によってオン/オフを選ぶといいと思います。

ミックスでは、高域が広がってくれている分、定位感がすごく良くて、リバーブの伸びとかもしっかりチェックできました。これは、これから宅録を始めるギタリストの最初の1台にピッタリですね。DAWソフトも2種類から選べて、自分好みに制作を始めることができます。
コンパクトで、電源もUSBバスパワーで動作するので、上位機種を持っている人が持ち運び用に使うとか、モバイル用のサブ機として持っていても便利なモデルだと思いますね。
 

右のAIRスイッチを押すと、ハイがより明るくなり、フォーカスライトならではの高級感のあるサウンドでギターやボーカルを録音することができる

レイテンシーなしで演奏できるダイレクトモニターはモノラル/ステレオ 2モードを搭載。状況に合わせた的確なモニタリングで録音をサポートしてくれる

筐体が非常に細やかなサンドブラスト加工が施された高級感のあるアルミケースになり、置く場所を選ばない落ち着いたデザインに仕上がっている
 

このモデルについて

【製品概要】
本機は、世界一売れているオーディオインターフェイス(※)として知られる「Scarlett 2i2」の第3世代モデルだ。刷新されたAD/DAコンバーターと、長年蓄積されたアナログ回路技術によってサウンドを大幅にブラッシュアップ。また、同社伝統のISAプリアンプの音質を再現する「AIR モード」を上位機種から継承し、シリーズ最高のスペックを実現。なお、エイブルトンLive LiteとアビッドProTools Firstという2つのDAWソフト、Spliceサンプルや各種プラグインなど豊富なバンドル内容も特徴だ。

【基本データ】
●アナログ入出力:2イン/2アウト
●デジタル入出力:なし
●対応OS:MacOS 10.13以降、Windows 8以降、iOS 8.0以降(「Focusrite Control」Appのみ対応)
●音質:24ビット/192kHz

【スペック】
●接続:USB2.0
●最大録音・再生チャンネル数:録音2/再生2
●入出力端子:インプット(XLR/TRSコンボ)×2、アウトプット(TRSフォーン)×2、ヘッドホン(標準ステレオ)、USB(Cタイプ-Aタイプのケーブルが付属)
●電源:USBバスパワー
●外形寸法:175(W)×47.5(H)×98.8(D)mm
●重量:470g
●付属DAWソフト:エイブルトンLive Lite、アビッドPro Tools First


音楽制作のための多彩なソフトが付属する6イン/6アウトモデル

ネイティブ・インストゥルメンツ
KOMPLETE AUDIO 6

¥25,800
問:ネイティブ・インストゥルメンツ・ジャパン㈱
https://www.native-instruments.com/jp/
 


 

アナログ4chにデジタル2chと、オーディオの入出力も充実していて、MIDI端子も付いていますし、CVも出力できる(※)のがNIの製品らしいですね。付属ソフトも同社のKOMPLETEシリーズ から厳選された音源やエフェクトの他に、 エイブルトンLive Lite、MASCHINE Essentials、DJソフトのTRAKTOR LE 3と充実しています。まさに至れり尽くせりで、お買い得なモデルですね。

本体はコンパクトなんですけど、ツマミが大きくてしっかりしているから高級感があります。マイクプリのキャラクターは素直な感じで、特定の帯域にクセがあることもなくて、おいしいところにフォーカスされているというか、すごく扱いやすい音質だと思いました。それと、コンプが入っていないのに音がまとまりやすいですね。アマチュアの人がマイクレコーディングをしても、すぐピークが点灯するようなことが、本機ではないと思います。

それとメーターが見やすいですね。ピーク時だけ点灯する製品と比べれば、“もう少しで歪みそうだな”というポイントがわかりやすい点はいいと思います。

再生音は奥行きがありつつも帯域のバランスが良くてフラットですし、解像度が高くて音がキメ細かいので、エフェクトのかかり具合もよく見えます。音がハデ過ぎると楽曲の印象が変わりますけど、本機は誇張された感じがなくて、しっかりモニターできるという印象なので、ミックスでも使いやすいと思います。

あと、特徴としてヘッドホンのアウトが2つあるんですよ。例えば、エンジニアとプレイヤーで1つずつ使うとか、ソフトシンセ主体でDTMをやっているクリエイターが、家にギタリストやシンガーを呼んで一緒に制作をする時にもすごく便利だと思いました。なので、クリエイターにはピッタリだと思います。
 

トップパネルの左側には、入力ch1〜4のレベルとマスターの出力レベルを表示するメーターが備わっていて、音量の動きを的確に監視することができる

フロントパネル右側にある2つのヘッドホン出力は、入力音を直接モニターできるダイレクトモニタリング機能を装備。音量もそれぞれ独立して調整可能だ

リアパネルには通常のインプットとアウトプット以外に、S/P DIFのステレオインプット/アウトプットを搭載。また、MIDI イン/アウトも用意されている
 

このモデルについて

【製品概要】
本機は、同社のロングセラー・オーディオインターフェイスの後継機、KOMPLETE AUDIO 6の第2世代モデルだ。最高24ビット/192kHzでの録音/再生に対応している他、大型ボリュームノブや視認性の高いVUメーターなど、音楽制作のあらゆるシーンで重宝される機能を搭載。ヘッドホン出力も2つ備えており、レコーディングや共同作業に最適だ。DAWソフトのエイブルトンLive Liteや、ビート制作ツールのMASCHINE Essentialsに、音源やエフェクトなど多彩なソフトウェアが付属。入手してすぐに音楽制作が始められる。

【基本データ】
●アナログ入出力:4イン/4アウト
●デジタル入出力:2イン/2アウト
●対応OS:MacOS X 10.12以降、Windows 10以降
●音質:24ビット/192kHz

【スペック】
●接続:USB 2.0
●最大録音・再生チャンネル数:録音6/再生6
●入出力端子:インプット(XLR/TRSコンボ)×2、インプット(TRSフォーン)×2、S/P DIFステレオイン(RCA)、アウトプット(TRSフォーン)×4、S/P DIFステレオアウト(RCA)、MIDIイン/アウト、ヘッドホン(標準ステレオ)×2、USB(Bタイプ) ※ライン出力1〜4はDCカップリング対応
●電源:USBバスパワー
●外形寸法:200(W)×55.6(H)×136.55(D)mm
●重量:850g
●付属DAWソフト:エイブルトンLive 10 Lite


パソコンやiOS機器を2台同時に接続できるコラボ制作に便利な1台

アイコネクティヴィティ
iConnectAUDIO4+

¥37,000
問:㈱メディアインテグレーション
TEL:03-3477-1493
https://www.minet.jp
 


 

非常にコンパクトで、見た目も入出力端子が4つ並ぶだけとシンプルですね。ツマミも1つだけなんですけど、プッシュすると機能が切り替わって、ひと通りの設定ができるようになっています。

マイクプリの音質には色付けやクセがなくて、マイクもギターもソースの持つ特性のままで録れます。個人的にはもう少しキャラクターがあってもいいかなと思いましたが、正確に音をキャプチャしているというか、加工はしやすいので、味付けは録った後にやればいいでしょう。再生音も素直でクリアですね。フラットで定位感もしっかりしています。

本機は機能面にユニークな特徴があって、まずiOS機器が接続ができるんですね。iPadの内蔵スピーカーでしか聴いたことがなかったソフトシンセの音を本機に通して鳴らしてみたんですけど、本当はレンジが広くて、すごくいい音がしていたんだっていうことがわかって面白かったです。

あと、パソコンやiOS機器を2台同時に接続できるのも驚きですね。しかも、本体内部で信号のルーティングができるので、例えばアレンジャーがパソコンを持ち込んでコラボする時に、自分のパソコン以外に相手のパソコンを接続すればオーディオやMIDIの送受信ができるんですよ。ファイルのやり取りをしなくていいなんて、便利ですよね。

他のオーディオインターフェイスだとiPadにつないでも、単純にシンセアプリの音を鳴らすだけですから、結局はメインのシステムに録らなきゃいけないんですよね。でも、本機ならDAWソフトからプラグインみたいにiPadの音源が鳴らせて、その音をトラックに立ち上げることができる。これはすごいことですよ!僕もこの機能だけで本機が欲しくなりました。そういう意味では、かなりの拡張性と可能性を備えた製品だと思います。
 

本体右側にあるツマミはプッシュ式になっており、押すごとに操作できる内容が切り替わる。また、タッチ式のパネルに触れることでも切り替えられる

リアパネルにはUSB端子が2個用意されており、パソコンを2台、もしくはパソコンとiOS機器を同時に接続できる。本機ならではのユニークな機能だ

リアパネルにはMIDIイン/アウト端子も装備している。なお、電源付きのUSBハブを使えば、最大8台までUSB-MIDI対応デバイスを接続できる
 

このモデルについて

【製品概要】
「iConnectAUDIO4+」は、最高24ビット/96kHzに対応したモデルだ。Mac/Windows/iOSを2台つなぐことができ、オーディオ信号やMIDIの信号を、DAWソフトとiOSアプリ間で送受信することができるという画期的な機能を持っている(専用ソフトウェアの「iConfig」で自在にルーティングが可能)。また、USBホスト端子を装備し、1台のMIDIコントローラーを2台のマシンや外部MIDI機器などへ自由にパッチングできる。

【基本データ】
●アナログ入出力:4イン/6アウト
●デジタル入出力:なし
●対応OS:MacOS X 10.8〜10.14、Windows 7〜10、iOS 8以降
●音質:24ビット/96kHz

【スペック】
●接続:USB 2.0
●最大録音・再生チャンネル数:録音4/再生6
●入出力端子:インプット(XLR/TRSコンボ)×4、アウトプット(L/R、TRSフォーン)×2系統、MIDIイン/アウト、ヘッドホン×2(標準ステレオ)、USB(Bタイプ)×2、Host端子
●電源:ACアダプター(付属)
●外形寸法:214(W)×37(H)×140(D)mm
●重量:965g
●付属DAWソフト:エイブルトンLive 9 Lite
 


10万円以上のモデルと比べても遜色ないサウンドと機能を実現!

フォーカスライト
Clarett 2Pre USB

¥41,600
問:㈱キョーリツコーポレーション
https://kyoritsu-group.com/support/contact_us-2/
https://kcmusic.jp/focusrite
 


 

まず、見た目の高級感がすごいですね。いかにも“フォーカスライト=高級機”を持っているという気になって、気分が上がります。サイズは大きめですけど、机の上に置くには問題ない範囲ですね。

マイクプリのサウンドは、解像度が高いうえに高域にキラキラ感がすごくあります。歌を録った時の音は最高でした。ナチュラルでありブライトでもあり……。何とも形容しがたいですけど、フォーカスライトならではの音楽的な音がするんです。ギターはシングルコイルPUのモデルで試したこともあって、ジャキジャキ感がより強く感じられました。

この機種もScarlett 2i2 3rd Gen同様にAIRスイッチがあるんですけど、ギターを少しプッシュしたい時に、トレブルブースター的にオンにするのはありだと思います。ちなみに、本機ではコントロールソフトでAIRをオン/オフするようになっています。そのソフトもシンプルで視覚的にもわかりやすいので、初心者でも迷うことなく使えると思います。

再生音のバランスもいいですし、定位もしっかりしていて立体感があるので、ミックスがしやすい音という印象ですね。エフェクトのかかり具合も、しっかりと確認できます。

オールジャンルで使えますが、サウンドの明るさからすると、ロックやポップスに向いていますね。あと、アコギのキラキラ感が出るインターフェイスは他になかなかないので、弾き語りにもいいと思います。「予算はないけど、高級機並みの機能と価格以上の音が欲しい」という人にピッタリですし、実際10万円以上のモデルと比べても遜色ないと思います。

あと、多入力に対応できるADAT端子が付いているので、将来的にリハスタとかでバンドレコーディングをやってみたいと考えているギタリストやベーシストの人にもオススメしたいですね。
 

本機はAIR機能のオン/オフを専用のコントロールソフト「Focsurite Control」上で行なう。他にも、ラインとインストの切り替えもソフト上で行なえる

リアパネルにオプティカルのADATインを搭載しているので、最大10chの同時録音を行なうことができる。また、MIDIイン/アウト端子も装備している

モニターボリュームとヘッドホンのボリュームを調整するツマミは、共にしっかりした剛性感があり、回した後に指が少し触れたぐらいではズレることがない
 

このモデルについて

【製品概要】
「Clarett 2Pre」は、Clarettシリーズでは最もコンパクトなモデルだ。高精度な24ビット/192kHzでの録音と再生が可能で、最大8つまで入力チャンネルを追加できるADAT入力を装備。クラス最高のダイナミックレンジと超低ノイズを誇り、さらに超低レイテンシーを実現。専用ソフトでオン/オフができる「AIR機能」により、同社伝統のISAマイクプリの周波数特性で録音できる。高級機と遜色ない音質と機能が盛り込まれている1台だ。

【基本データ】
●アナログ入出力:2イン/4アウト
●デジタル入出力:8イン/0アウト
●対応OS:MacOS 10.11以降、Windows 7以降、iOS 8.0以降(「Focusrite Control」Appのみ対応)
●音質:24ビット/192kHz

【スペック】
●接続:USB2.0
●最大録音・再生チャンネル数:録音10/再生4
●入出力端子:インプット(XLR/TRSコンボ)×2、オプティカルイン、アウトプット(L/R、TRSフォーン)×2、ヘッドホン(標準ステレオ)、USB(Cタイプ)
●電源:DCアダプター(付属)
●外形寸法:210(W)×55(H)×161(D)mm
●重量:1.36kg

●付属DAWソフト:エイブルトンLive Lite


プロのスタジオ機材を完全再現したプラグインが使える人気モデル

ユニバーサル・オーディオ
Arrow

オープンプライス(¥58,000前後)
問:問:㈱フックアップ
TEL:03-6240-1213
https://www.hookup.co.jp/
 


 

まずUADプラグインが使えて、コンパクトでバスパワーでも動作するのがいいですね。Thunderbolt 3端子が付いているMacBook Proを持っているなら、1台持っているといいと思います。

サウンドの傾向は、いい意味でアグレッシブと言うか、押し出し感がある力強い音で、ポップスからロックまで幅広く使えます。それと、部屋の鳴りまでわかるくらい、レンジが広いのも特徴ですね。マイクプリ自体の音質はナチュラルで、色付けやクセが少ないんですけど、後から音の加工がしやすいと思います。ギターを録っても傾向は同じで、後からUADプラグインをかけた時に、マイクプリやエフェクトの質感が十分に活きるように、アナログの段階では色付けを少なくしているんだと思います。

とにかく、Unison対応のUADプラグインを使えば、プロがスタジオで使っている機材を完璧に再現したギターアンプやマイクプリの音で、ギターやボーカルが録れるのが最大のメリットですね。僕も普段は同社のApolloを使っているんですけど、オケに入ると実機との違いはプロでもわからないですからね。

それと、通常のプラグインはDAW上でかけ録りするとレイテンシーが発生しますけど、Arrowはハードウェア中にプラグインを立ち上げられるので、ストレスなく演奏できるのも魅力です。逆に、本物のアンプを鳴らしてマイクで録るよりも、いい音で録れますね。アマチュアでもプロのスタジオ機材と同じものが使えるなんて、今の人がうらやましい(笑)。

それと、専用のコントロールソフトもすごく優秀でわかりやすいですし、プロユースでも使えるクオリティになっている点もいいですね。もしArrowが気に入って、将来的にもっと高機能な製品が欲しくなったら、Apolloにステップアップするのもありだと思います。
 

パネルには視認性のいいディスプレイが配置されており、入出力レベルの他に、ハイパスフィルターやファンタム電源などのオン/オフも表示される

手にしっくりと馴染む、周囲がLEDで囲まれた大型のツマミを採用。これでプリアンプの入力レベルとモニターの音量をコントロールすることができる

プロのレコーディング機材を再現した「Realtime Analog Classicsプラグイン」が付属しているので、すぐに本格的なサウンドで歌やギターを録音できる
 

このモデルについて

【製品概要】
Arrow」 は、プロの間で高評価を得ている「Unison」テクノロジーによるマイクプリを内部に装備しているThunderbolt 3仕様のモデルだ。同社の1176LNや610-B、テレトロニクスのLA-2Aなどを再現している「Realtime Analog Classicsプラグイン」を標準装備。また、マーシャルPlexiやフェンダーTweed Deluxeなどのアンプのエミュレーションもバンドルしているので、プロと同じクオリティで歌やギターが録れる。

【基本データ】
●アナログ入出力:2イン/2アウト
●デジタル入出力:なし
●対応OS:MacOS X 10.12以降、Windows 10 creators update(64ビットエディション)
●音質:24ビット/192kHz

【スペック】
●接続:Thunderbolt 3
●最大録音・再生チャンネル数:録音2/再生2
●入出力端子:インプット(XLR/TRSコンボ)×2、Hi-Zインプット(TRSフォーン)、アウトプット(L/R、TRSフォーン)×2系統、ヘッドホン(標準ステレオ)、USB(Bタイプ)×2、Host端子
●電源:Thunderbolt 3バスパワー
●外形寸法:179.9(W)×25.2(H/前面)/46.7(H/背面)×121.1(D)mm
●重量:630g
●付属DAWソフト:なし
 

 


音質と機能共にギター録音に徹底的に特化したギタリスト向けモデル

IKマルチメディア
AXE I/O

オープンプライス(¥45,000前後)
問:Kマルチメディア
https://www.ikmultimedia.com
 


 

フロントパネルにチューナーが付いていたり、リアンプ用のアウトがあったりと、このモデルは超多機能ですね。見た目もツマミが一杯あって、メカ好きの心をくすぐられるというか、ギタリストの夢が詰まっているという印象です。

サウンドもギターに特化しています。ローミッドに厚みがあって、ギターを弾いた時に気持ちいい帯域がすごく上がっているうえに、ハイにも押し出し感がありました。それでいて解像度も高い。とにかく、ギタリストがギターを録音する時に気持ち良くプレイできる音作りがされていると思います。

プリアンプはギターアンプをマイク録りすることも想定しているようで、ガッツがあるというか、ロック寄りな音質ですね。この傾向を利用して、歌の場合はパワフルなボーカルを録るといいテイクが録れそうです。ダイナミックマイクも合っているかもしれません。

ただ、本機の真骨頂は、やはりインプット1のINST入力ですね。一般的なインターフェイスはHi-Zボタンのオン/オフしかできないですけど、これはパッシブPUとアクティブPUの切り替えができるうえに、質感の違うJFETとPUREというモードが選べます。さらに、入力インピーダンスが無段階で変更できます。インピーダンスを高くするとキラッとした音になって、低くしていくとビンテージの経年劣化したピックアップのような枯れた音になっていくんですね。これは今までになかった発想で、音質の変化がEQとは違います。ギターを持ち替えるような感覚で、インピーダンスを変えて録ってみるのも面白いと思いました。

あと、リアンプボックスとかを使わずにギターアンプに直結できる、アンプアウトが付いているのも特徴です。気軽にリアンプに挑戦してみたいというギタリストにも本機は最適だと思います。
 

インプット1のINST入力には、インピーダンスを無段階で調整できるZ-TONEツマミの他に、ギターのピックアップや求める音色が選べるスイッチを装備

ギター用のチューナーも装備している。また、パソコンに入っている同社のAmpliTubeのプリセットを順番に呼び出せるPRESETツマミも付いている

インプット1の信号、もしくはDAWソフトの信号を直接ギターアンプに送れるAMP OUT端子を搭載。リアンプボックスなしでリアンプが行なえる
 

このモデルについて

【製品概要】
AXE I/O」は、ギターのために設計された、最高24ビット/192kHzに対応している2イン/5アウトのモデルだ。求める音質や搭載されているPUによって最適なモードを選択可能。また、入力インピーダンスを2.2kΩ〜1MΩの間で無段階で調整できる。エイブルトンLive 10 Liteや同社のAmpliTube 4 Deluxeの他に、コンプやEQ、リバーブ、テープディレイ、ディエッサーなどの豊富なエフェクトが付属しているのもうれしい。

【基本データ】
●アナログ入出力:2イン/5アウト
●デジタル入出力:なし
●対応OS:MacOS X 10.11以降、Windows 7以降
●音質:24ビット/192kHz

【スペック】
●接続:USB2.0
●最大録音・再生チャンネル数:録音2/再生5
●入出力端子:Hi-Zインプット(XLRフォーン/インスト、ライン、マイクに対応)×2、インプット(XLR/TRSコンボ)×2、コントローラーイン×2、アウトプット(TRSフォーンL/R、TSフォーン3/4)、ヘッドホン(標準ステレオ)、リアンプアウト(TRSフォーン)、MIDIイン/アウト、USB(Bタイプ)
●電源:DCアダプター(付属)
●外形寸法:238(W)×53(H)×211(D)mm
●重量:1.3kg
●付属DAWソフト:エイブルトンLive 10 Lite
 


真空管とキャビネットエミュレーターが本物のアンプの鳴りを実現!

オーディエント
Sono

オープンプライス(¥45,600前後)
問:オールアクセスインターナショナル㈱
support@allaccess.co.jp
http://www.allaccess.co.jp
 


 

Sonoは、トゥーノーツとコラボレーションして誕生した、ギター録音に重点を置いているモデルです。12AX7真空管特有の艶のあるサウンドと3バンドのアナログイコライザー、そしてトゥーノーツのキャビネットエミュレーターと、ギター録音に必要なものがすべて搭載されています。

また、オンボードDSPを搭載しており、トゥーノーツのTorpedoソフトウェアで作ったサウンドを3つまで直接本体に保存することが可能。作り込んだサウンドを瞬時に呼び出すことができます。

ギターやマイクをつないで鳴らしてみましたが、音質は素直で、プレイのニュアンスもしっかりと録音できました。ツマミ関係は、アナログイコライザーの効きが良く、特に真空管のドライブのツマミが好印象です。このツマミを上げると、本物のギターアンプのパワー管をフルドライブさせているような感じになりました。艶と音圧がいい具合に出たところに、キャビネットエミュレーターを組み合わせれば、大型アンプに匹敵するサウンドを、ラインでレコーディングすることができます。

また、MIC/LINEのインプット1にも真空管のニュアンスを加えることが可能で、艶と張りのあるサウンドでボーカルやアコギが録音できました。

本機にはリアンプ機能も搭載されています。実際、試してみたところ、本体前面の専用ジャックにケーブルを挿すだけで自動的に信号のルーティングが切り替わるので、簡単な操作でリアンプを行なうことができました。

1台で高品質なギターレコーディング・システムを構築できる本機は、“これからギター録音を始めようと思っている方”はもちろん、“今のシステムをコンパクトにしたいけど、音質は落としたくない”という方にもオススメできるアイテムです。

試奏・文:瀬々信
 

/

フロントパネルには、ギターインの他に「TO AMP」というリアンプ専用端子が用意されており、別途リアンプボックスを使わなくてもリアンプができる

アウトプットの左側にはADATオプティカル端子が装備されており、バンドの一発録りやドラムのマルチマイク録音なども、本機1台で行なうことができる

様々なキャビネットやマイク、ブースの特性を選ぶことができるTorpedoソフトウェアも非常に扱いやすく、実機と遜色ないサウンドクオリティを持っている
 

このモデルについて

【製品概要】
「Sono」は、本体に12AX7真空管を内蔵し、本物のチューブサウンドでギターを録音できるオーディオインターフェイスだ。トゥーノーツ社のパワーアンプ&キャビネットエミュレーションを採用し、ライン録音でもマイク録りのような自然な音質を実現。お気に入りの設定を3つまで本体に保存できる。また、ADAT入力端子を装備しているので、ドラムのマルチマイク録音やバンドの一発録りなどにも対応できる。

【基本データ】
●アナログ入出力:2イン/2アウト
●デジタル入出力:8イン/-アウト
●対応OS:MacOS 10.11以降、Windows 7以降
●音質:24ビット/96kHz

【スペック】
●接続:USB2.0
●最大録音・再生チャンネル数:録音10/再生2
●入出力端子:Hi-Zインプット(TSフォーン)、インプット(XLR/TRSコンボ)×2、オプティカルイン、アウトプット(TRSフォーン)×2、ヘッドホン(標準ステレオ)、リアンプアウト(TRSフォーン)、USB(Cタイプ)
●電源:DCアダプター(付属)
●外形寸法:228(W)×67(H)×117(D)mm
●重量:1.25kg
●付属DAWソフト:スタインバーグCubase LE(登録ダウンロードライセンス付き)
 

 


レンジの広いリッチな音を持ち、モニターコントローラー機能も装備

フルイド・オーディオ
SRI-2

オープンプライス(¥32,000前後)
問:ローランド㈱お客様相談センター
TEL:050-3101-2555
https://www.roland.co.jp/
 


 

サイズはノブも含めて意外と大きいなという印象を受けたんですけど、見た目が高級なモニターコントローラーみたいで、第一印象は「いかにもいい音がしそうだな」って思いました。

実際のサウンドはすごくレンジが広くて、今回試聴した中では上位に入りますね。すごくリッチな音で、リスニングでも楽しめると思います。この価格帯の製品では、聴けないような音がしました。

その一方で、インプットのマイクプリは、アウトプットの印象と比べると、中域が強めに出ているように感じました。実際にギターをつないで録音してみたんですけど、中域が出ている分だけ、後でアンプシミュレーターを通した時に音が抜けてきました。
ミックス時に再生したサウンドは、奥行き感とかエフェクトの感じがすごく良かったですね。「あれ? リバーブをこんなにゴージャズにかけていたっけ?」と思うくらい、残響音の広がりや切れ際も含めてしっかりとモニターできました。このレンジの広さはすごいですね。解像度も高くて、すごく細かいところまでわかりやすかったです。

個人的にはレコーディングよりも、音を聴くシチュエーションで特に真価を発揮するオーディオインターフェイスだと思いました。

あと、本機の最大の特徴としては、リアパネルにスピーカーアウトが2系統搭載されていて、表面パネルに付いているスイッチで、接続した2台のスピーカーを切り替えることができる点です。切り換え時の反応も良くて、まったく問題なかったです。別途モニターコントローラーを買わなくて済むのはいいですね。安価なモニターコントローラーだと、それを挟むことで音自体が変わってしまうことがあるんです。そういう症状を気にしないでいいというのは、本機を導入する大きなメリットだと思います。

このSRI-2は、ミックスやリスニングだったり、しっかりと音を聴いて細部までチェックしたい人に向いていると思いました。ただ、とてもリッチでゴージャスな音なので、これに慣れてしまうと、他のオーディオインターフェイスで聴いた時にガッカリするかも(笑)。それくらい音がいいんです。

それと、ギターやベースとかをレコーディングする時のモニター用として使うと、プレイヤーは気分が上がると思いますね。ジャンル的にはロックやポップスといった、レンジが広い音楽が合っていると思いました。
 

 

リアパネルには、マイクケーブルとギターシールドがどちらも挿せるコンボタイプのインプット端子と、フォーンタイプのアウトプット端子が用意されている

/

2つのインプットには、どちらにもファンタム電源を供給できる。なお、アウトプットで左右に振り分けられる信号をセンターに結合できるSUMも装備
 

このモデルについて

【製品概要】
「SRI-2」は、「F4」や「F5」などの高音質なモニタースピーカーでおなじみのフルイド・オーディオ社が開発した2イン/2アウトのオーディオインターフェイスだ。最高24ビット/192kHzのAD/DAコンバーターを採用し、クリアかつ高音質なオーディオ入出力を実現。大型のボリュームなどの操作子をトップパネルに集約し、直感的な操作を実現している。また、2組のモニタースピーカーをつなぐことができ、スイッチで瞬時に切り替えられる。

【基本データ】
●アナログ入出力:2イン/2アウト
●デジタル入出力:なし
●対応OS:MacOS X 10.10以降、Windows 7〜10、 iOS9以降
●音質:24ビット/192kHz

【スペック】
●接続:USB 2.0(Hi-speed)
●最大録音・再生チャンネル数:録音2/再生2
●入出力端子:インプット(XLR/TRSコンボ)×2、アウトプット(L/R、TRSフォーン)×2系統、ヘッドホン×1(標準ステレオ)、USB(Bタイプ)、EXTERNAL POWER端子(Micro USBタイプ)
●電源:USBバスパワー(5V 500mA)
●外形寸法:203(W)×70(H)×152(D)mm
●重量:1.0kg
●付属DAWソフト:なし
 

試奏者プロフィール


 

堀 豊(ホリ ユタカ)
レコーディングエンジニア、コンポーザー、アレンジャー、サウンドクリエイターとして、作・編曲からレコーディング、ミックス、マスタリングまで幅広く手掛けるマルチクリエイター。サウンド・デザイナーから発行している電子書籍「Studio Oneクイックマスターガイド」の執筆も担当している。
 

 

今回の試聴方法

今回の試聴ではDAWソフトはプリソーナスStudio Oneを使い、バックトラックに合わせて歌った男性ボーカルとエレキギターの演奏をレコーディングして、各モデルのマイクプリの特性をチェックしました。また、最近僕がミックスしたセッションデータで、ミックス時の聴こえ方やエフェクトの効きの見やすさを確認しつつ、iTunesで楽曲を再生して出音の傾向も検証しています。
普段使用しているユニバーサル・オーディオApollo Twinの音を基準として、各機種ごとにローからハイまでのレンジの広さや解像度を比較/評価しました。

モニタースピーカーは、普段から堀氏がメインで使っているRCFのMYTH06というアクティブタイプを鳴らした

ヘッドホン端子の音質のチェックには、ビーツbyドレのStudio3(左)とヤマハのHPH-MT220を使用。ちなみに、録音時にマイクはノイマンU87を、ギターはフェンダー・ストラトキャスターをデモ機に直結した
 

この記事の画像一覧

(全36枚) 大きなサイズで見る。

関連する記事

PAGE TOP