20年ぶりとなる国内ツアー

X JAPAN 横浜アリーナ公演初日・完全ライブレポート!

X JAPAN 横浜アリーナ公演初日・完全ライブレポート!

2015/12/02


X JAPAN YOSHIKI TOSHI

 

 アルバム『DAHLIA』に伴うツアー以来、実に20年ぶりとなる国内ツアー。5日前には18年ぶりとなる紅白歌合戦への出場が発表され、3日前には24年ぶりとなるライブハウス公演を被災地の石巻で行ったばかりのX JAPAN。そんな異例尽くしのニュースが届く中開催される横浜アリーナ公演初日。単独公演としては、2014年秋に米国マジソン・スクエア・ガーデンの前哨戦として行なわれた、同じく横浜アリーナでの公演以来、およそ1年2ヶ月ぶりだ。正式にはツアー2日目だが、フルスケールでのコンサートとしては初日ということになる。

 開演予定時刻に近づくと、場内は熱気が増し、ところどころで「We are!!」 「X!!」の絶叫が暴発。そして19時21分、場内暗転。ステージ上の巨大スクリーンに、世界各地で開催されたコンサートにおける熱狂的なファンの姿。オープニングSE「Miracle」が場内を荘厳に包む中、ドラムセットに姿を現したYOSHIKI。祈るように合掌した後、セット内の定位置に。PATAの鋭利な刻みで口火を切ったのは近年の定番オープニング曲「Jade」だ。Toshlのタイトルコールをきっかけに炎の柱が立ち上り、場内の温度を一気に上昇させる。

 Toshlが「今日は無礼講だーっ!! 気合い入れていけーっ!」と煽ると、それを上回るボルテージでオーディエンスが呼応。その瞬間、あのフレーズのサンプリングに場内騒然。「Week End」だ。デビュー当時はオープニング曲に続く2曲目が定位置だったこの曲が披露されたのはずいぶん久々だ。 Toshlがコーラスのハーモニーを歌わせようと近づくと、笑みを浮かべつつうまく逃げ交わすHEATH。こんなちょっとしたシーンからも、バンド内のムードが良好であることが伝わってくる。

 続いて「ニューアルバムから新曲」と紹介され、SUGIZOのペンによる「Beneath The Skin」へ。モダンなヘヴィネスとX JAPANならではの儚げなメロディの出会いは、SUGIZOがもたらしたバンドの新たな側面といえるだろう。リズム的な側面においても、アクセントとなるHEATHのスラップベースプレイは新機軸といえるかもしれない。

 ステージ上のスクリーンに映し出された映像では、YOSHIKIが英語で語り、2008年の復活公演にゲスト参加したウェス・ボーランド(リンプ・ビズキット)やリチャード・フォータス(ガンズ・アンド・ローゼス)が当時を振り返るコメント。2016年3月12日に公開される予定のドキュメンタリー映画のトレーラーであることがYOSHIKIの口から明かされる。ステージ上にはToshlとYOSHIKIのふたりのみ。ここからはファンの間で「すみれ組トーク」と呼ばれるほっこりMCタイムの第一弾。「初日は段取りが狂うからおもしろい」「20分押してるのに褒められるなんて俺達幸せだよね」「俺達話が噛みあわないね」と、幼稚園から一緒だったふたりだからこその緩い空気感に癒される。

 その流れで紹介された新曲「Angel」。本日披露された中で奔放初公開となった唯一の曲だ。YOSHIKIが「僕らが解散していた、苦しい時期に書かれた」と説明するこの曲の舞台はニューヨークの高層ビル。「屋上から飛び降りようかどうしようか、と自分の影に向かって話しかけているところから始まる曲」だという。披露されたのは、ピアノとヴォーカルのみのバージョンだが、アルバムにはバンドバージョンが収録されるそうだ。披露されたのは、あくまでもプレビューということらしい。悲痛でありながらも美しい、極めてYOSHIKIらしいメロディが印象的な曲だ。

 ピアノ&ヴォーカルの編成のまま「Hero」へ。途中からメンバーが合流し、躍動感溢れるバンドバージョンへ。 「自分の中のヒーロー」を歌うToshlの声は、ひたすら力強い。

 PATAとHEATHのソロタイムからの、打ち込みバックの「Drain」、そしてとSUGIZOのバイオリンソロを経て、Toshlのアコギ1本の弾き語りによる「Say Anything」。Toshlは感極まったのか、途中言葉が出てこない場面も。かすれた声を震わせながら歌い続け、終盤にはパワフルに歌い上げた。Toshlにとって特別な思いがこめられた曲であることが改めて証明されたようだ。

 バラの花束を抱えたYOSHIKIがステージに姿を現す。ピアノソロだ。ベートーベンの「月光」から「Miracle」へ、水を打ったような静寂の中、生命を内包したピアノの音だけが響き渡る。一転、ドラムソロでは、YOSHIKIの激しさと狂気の顔が覗く。会場全体のファンがつけたリストバンドがドラムソロと同期して赤、青、緑、白と点滅。まるで場内全体がドラムソロに反応しているかのようだ。シンバルやハイハットといったいわゆる金物を中心としたしなやかなフレージングから入り、最後にはツーバス連打の乱れ打ちと、ドラムソロにおいてもしっかりとドラマが描かれているのはさすがだ。

 

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X JAPAN

 バラをあしらったジャケットを着たToshlが登場し「Forever Love」へ。スクリーンには、インディーズ時代から現在に至るまでの、HIDEやTAIJIという今は亡き盟友たちとの姿。栄光と悲劇の軌跡。場内の誰もが目頭を熱くさせている。中でもグッと来たのは、1997年のラストライブの映像をバックに、Toshlがピアノの椅子に腰をかけ、YOSHIKIに寄り添った場面だ。YOSHIKIの言葉を借りれば、「10年前にはこんなことになるとは夢にも思わなかった」光景だ。

 HEATHも上半身裸になった「紅」で再び場内の温度を上昇させた後は、「自由に向かって生きていくぜーっ」と、11月にリリースされたばかりの、来春リリースのアルバムからのファーストシングル「Born To Be Free」へ。

 かつてHIDEが言っていた「横アリ浜ーナッ!!」と呼びかけ、「そろそろ本気見せてくれっ」とToshlが喝を入れると、本編ラストの「X」へ。メンバーのコールではしっかりと「On bass, TAIJI!! On guitar, HIDE!!」と、7人体制のX JAPANの健在ぶりを示した。終盤、メンバーは客席の方まで出ていくが、YOSHIKIに至ってはアリーナ席の後方に到達。Toshlは「HIDEとTAIJIにも聞かせてやってくれーっ!!」と、絶叫を煽る。ステージに戻ったYOSHIKIはグランドピアノの上に仰向けになったまま「WE ARE!!」を絶叫。このカオティックな光景に、90年代初頭の彼らの姿が重なった。

 X JAPANにとってアンコールとは、第二幕を意味する。PAスピーカーから爆音で流れ出した「World Anthem」に場内がどよめく。
後半戦のオープニングは「Rusty Nail」だ。

 その後再び長めのトークタイム。マイクを向けられたPATAの飄々とした返しが彼らしくて和む。Toshlの「黄門様ではありません」とは、PATAのルックスのことだけを言っているのではないのだろう。

 YOSHIKIが唐突に「Dahlia」や「Longing」を弾き出しても、それにしっかりと対応して歌い出すToshl。「予定にないことやるから困るでしょ」と、いたずらっぽく笑うYOSHIKI。
我々は、こんな予定調和を嫌う彼が好きなのだ。しかし、さすがに客席からあがった「大魔神5人組やってー」の声には、「そんなのやる余裕ないよ」と、一蹴。

 「Endless Rain」では、懐かしいPVの映像をバックに、再びToshlとYOSHIKIが横並びでピアノの椅子に座る。ピアノだけが響き渡る中、場内大合唱の光景は幾度となく見てきたが、何度目にしても鳥肌が立つ。

 SUGIZOのバイオリンソロに導かれるようにYOSHIKIのピアノへ。本日のラスト「Art of Life」だ。最後に緊迫感に満ちた大曲を持ってくるあたり、常に自らを追い込む自虐的なX JAPANとしてのこだわりが感じられる。

 カーテンコール「Tears」が流れる中、さっきもう行かないと言ったばかりなのに、YOSHIKIは早速客席に突っ込んでいってしまった(笑)。幾度となく「We are X!」をフル絶叫し、完全燃焼。暗転から3時間4分経過した22時25分、客電が点灯。現実の世界へと引き戻された。

 新曲「Angel」がワールドプレミアされ、結果的に世界中のファンに注目されることになった横浜アリーナ公演DAY1。X JAPANというモンスター・バンドの本質を随所に垣間見ることができた。

 国内ツアーは横浜アリーナ4DAYSを終えると、大阪、福岡、広島、名古屋の5都市で計9公演を行う。来年3月11日には待望のニューアルバム、そしてドキュメンタリー映画の発表、イギリス・ロンドンのウェンブリー・アリーナでの公演が控えている。快進撃はここから始まる。

レポート by 金澤隆志

X JAPAN YOSHIKI
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X JAPAN YOSHIKI

 

X JAPAN YOSHIKI

 

X JAPAN YOSHIKI

 

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