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【参考動画付き】Native Instrumentsのギターソフト音源「SESSION GUITARIST: ELECTRIC VINTAGE」活用法 by 木内友軌
【参考動画付き】Native Instrumentsのギターソフト音源「SESSION GUITARIST: ELECTRIC VINTAGE」活用法 by 木内友軌
2021/03/31
Native Instrumentsから1950年代後半のアメリカ製のエレキギターをフィーチャーしたソフト音源「SESSION GUITARIST: ELECTRIC VINTAGE」が発売されました。この音源で一体どのようなことが行なえるのか? ここではDEAN FUJIOKAや三阪咲、ナオト・インティライミのステージでシンクマスターやバックDJとして、またプロデューサーとしても様々なアーティストに楽曲提供されている木内友軌さん協力のもと、本製品の具体的な活用法を参考動画を交えて紹介していきたいと思います。
取材:編集部 写真:小貝和夫
──「SESSION GUITARIST: ELECTRIC VINTAGE」の第一印象はいかがでしたか?
木内:音を出すまでは「マニアックなところをきたな」と思っていたんですけど、実際はすごく扱いやすかったですね。収録されているバッキング用のパターンも渋くてブルージーなものというよりは、今時のチルやエレクトロにも合いそうなオシャレなものが入っていて。ギタリストに「こういうフレーズを弾いてもらいたい!」っていうものがかなりありました。ギターの音色も標準のプリセットにいいものがたくさん用意されているので、初心者の人もすぐにそれっぽいフレーズが作成できると思います。
▲「SESSION GUITARIST: ELECTRIC VINTAGE」には、「Van Life」、「Rock Stage」、「Retro Funk」、「Classic RnB」など、音色がイメージしやすいプリセットがあらかじめ用意されている
──本ソフトには、231ものバッキング・パターンが収録されていますが、これらのパターンをどのように曲作りに活用したいと思われましたか?
木内:そうですね。「SESSION GUITARIST: ELECTRIC VINTAGE」ありきで曲を構築するとしたら、それだけで楽曲のメロディーを取れそうなアルペジオや印象的なリフになれそうなストラムなどが収録されているので、まずはそれを使っていく感じになると思います。「SESSION GUITARIST: ELECTRIC VINTAGE」では、パターンの始まり、終わり、長さなどを設定できる「Inspector Panel」も利用できるので、例えばパターンの前半部分だけを使いたいとか、1拍ずらしたパターンを鳴らしたいといったことができる点もいいですね。あと、これは「SESSION GUITARISTシリーズ」共通の機能だと思いますが、1拍目にアクセントがあるパターンとか、自分が希望するアクセントのタイミングを持ったパターンを「Rhythm Search」から検索できるのも便利だと思います。
▲「PATTERN BROWSER」の「Rhythm Serach」を使って、自分好みのパターンを検索することもできる
──選んだバッキング・パターンは、具体的にはどのようにDAWソフトに配置していくのでしょうか?
木内:基本的には楽曲のコード進行に合うように打ち込んでいくんですが、パターンの切り替えに関してはキースイッチで行なうときと、あらかじめ別のトラックに分けてパターンを準備していく場合があります。別のトラックに分ける場合は、奏法が異なるときですね。例えば、アルペジオとストラムで分けたり。アンプのセッティングとかもアルペジオとストラムでは違いますからね。
──キースイッチは、アルペジオやストラムといったパターンを切り替える以外に「アーティキュレーション」目的で利用することも?
木内:あります。特に使うのは「ミュート」ですね。「チャーン、チャーン、チャーン」よりも「チャ、チャ、チャーン」の方がいいなと思ったときは「ミュート」の「C#1」を入れますし、あとコードが変わるときにも入れます。
──「SESSION GUITARIST: ELECTRIC VINTAGE」では、ギターのソロ演奏に便利な「Melody」モードも用意されていますが、ギターソロを打ち込み際のポイントがあれば教えてください。
木内:一番ギターソロがそれらしく聴こえるのは「スライド」、「ミュート」、「ビブラート」だと思うんですね。なので、それらを後からキースイッチなどで付け加える前提でまずは好きなフレーズを打ち込んでいきます。「スライド」のキースイッチは鍵盤の「B1」にアサインされているんですが、こういったキースイッチの状況は画面右下の「鍵盤」のアイコンをクリックすると確認できるので、これも見ながらやるといいと思います。ちなみに僕もライブで使っているんですが「KOMPLETE KONTROL」を利用すれば、こういったアーティキュレーションやスライドなどの場所も「Light Guide」で表示されるのでオススメですよ。で、ビブラートに関してはモジュレーション・ホイールで加えることができるんですが、「SESSION GUITARIST: ELECTRIC VINTAGE」ではビブラートのスピードを「Slow」「Med」「Fast」から選べるんですね。僕は「Med」くらいにして、結構深めにかかるようにオートメーションを書くことが多いですね。ギターソロは、単調なリズムを繰り返すのではなく、伸ばしたり短くしたり変化を加えるとそれっぽくなると思います。
▲キーボードに割り当てられているアーティキュレーションは、画面右下の鍵盤のアイコンをクリックすると表示される「Mapping Pannel」でも確認することが可能だ
木内:アンプに関してはヴィンテージに特化するわけではなくて、今っぽいハイゲインのものもあったり。僕としては「Twang」というのが好きでした。バッキングのときは「Twang」、ソロのときは「Hot Solo +」を使いたいですね。キャビネットも「Twang」なんですけど、「Twang(a)」が良かったですね。
──アンプはどのようなセッティングで使うことが多いのでしょうか?
木内:基本はバッキングもソロも「Bass」と「Mid」をカットして、「Treble」を少し上げて抜けの良いサウンドになるように設定します。で、最終的にDAWの方のEQで上の方をちょっと削ってあげたりすると、モチっとしつつ、すっきりとしたサウンドになるんですよ。設定ではハイを上げるけど、後でEQで調整するのが自分のやり方ですね。
木内:まず歪みのエフェクトを一通り試したんですけど、「Skreamer」と「Cat」の再現力が高いですね。家にも「Cat」のもとになったであろう実機があるんですけど、フィルターの調整も実機ライクですごく良かったです。
──「Skreamer」や「Cat」を使う場合、どのような設定にすることが多いのでしょうか?
木内:「Skreamer」は「Drive」を「77%」くらい、「Tone」も「60%」くらいと明るめに設定することが多いですね。で、「Cat」は「Distortion」の歪みを「15%」くらいにして、「Filter」は全開のところからスタートしますね。それで音が痛いと思ったら「Filter」をしぼっていく感じです。すると、歪みの音に丸みが出てきます。
木内:「IR REVERB」の中に「Amp Spring」というのがあるんですけど、これが良かったですね。「Pre-Delay」を短めに、「Tone」は明るめで、「Mix」をドライ気味の「29%」にすると、まさにスプリング・リバーブのような響きになります。僕の場合、いわゆるミックスでのリバーブやディレイはDAWの方でかけるので、音色としてのリバーブはこの「Amp Spring」はかなり使えるなと思いました。
木内:ピックアップのセレクターはフロント、リア、ミックスが選べるんですが、特徴もちゃんと捉えていて、実機よりはカラーがはっきりしていて使いやすい印象でしたね。実機はものによっては「なんじゃこりゃ」っていう場合もあるので、そういう意味ではソフトの方が安心して使えると思います。あと、フレットノイズとかもちゃんとギターを弾いたときの状態が再現できますね。これも実機を録音したときと比べて後から加えたり、不要だったらノイズのない状態にもできるのがソフトならではですね。
▲「BROADCASTER」
──そもそも、木内さんの考えるヴィンテージ・ギターの特徴というのは?
木内:1本だけでも成り立つぞというレンジの広さ、太さみたいなところと、「嫌な痛さ」がないという点ですかね。実は、今回試奏するにあたって「SESSION GUITARIST: ELECTRIC VINTAGE」で作ったフレーズに、自分が持っている1950年の「BROADCASTER」で弾いた音を重ねてみたんですけど、かなり質感が近かったですね。個体が違うので、まったく同じ音にはならないですけど、2つはものすごくいいペアになりました。
──それでは最後に、あらためて「SESSION GUITARIST:ELECTRIC VINTAGE」を色々と試してみた感想をお聞かせください。
木内:最初にもお伝えしましたが、この「SESSION GUITARIST:ELECTRIC VINTAGE」はヴィンテージと言っても古臭くないというか、今の音楽を彩れる音色とパターンがふんだんに入っていると思います。なので、新しい音楽をやりたいと思っているすべてのクリエイターにぜひ使って頂きたいですね。あと、ギタリストの人も自分では弾かないようなフレーズが絶対に入っていると思うので、そういったパターンでコードを鳴らしながら自分のギターを重ねてみても十分楽しめると思います。もちろん、僕も今後の自分の楽曲制作に使っていこうと思っています。
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