自然な響きで機能も充実のアコースティック・ギター用アンプ

Blackstar「Sonnet 120」徹底レビュー!【トクマルシューゴさんによる試奏動画付き】

Blackstar「Sonnet 120」徹底レビュー!【トクマルシューゴさんによる試奏動画付き】

2020/07/17

Blackstar「Sonnet 120」は、アコースティック・ギターの細かなニュアンスをナチュラルな響きで鳴らすことができる2チャンネル仕様のギターアンプです。コンボ入力端子を装備しマイク、エレアコを直接接続できる他、チャンネルごとにゲイン、EQ、リバーブ量を独立して設定可能。さらにUSB、Bluetooth、D.I OUTPUT、LINE INなど豊富な入出力が用意されており、幅広いシーンでの用途に対応できる機能が満載です。ここでは、そんな「Sonnet 120」の魅力を、アコースティック・ギターを中心とした実験的なポップミュージックを生み出しているトクマルシューゴさんによる動画レビューを交えて紹介していきましょう。
 
文:目黒真二 写真:小貝和夫

 

●サウンドをナチュラルに鳴らす8インチスピーカーとベース・ポート・キャビネット
 
8インチ+ツイーター
ベース・ポート・キャビネット
「Sonnet 120」の最大の特徴が、アコースティック・ギターならではのクリーンでふくよかなサウンドをそのまま再現できる8インチの "Natural" スピーカーとツイーター、そして背面に用意されたベース・ポート・キャビネットです。スピーカーはその名の通り、自然でかつワイドレンジなサウンドが楽しめるチューニングが施されており、ベース・ポート・キャビネットで豊かなベーストーンを得ることができます。ベース・ポート・キャビネットに関しては後ろ側の壁との距離で、低音感を調整することも可能です。
 

●プレーヤーがモニターしやすいチルトスタンドを装備

チルトスタンド写真1
チルトスタンド写真2

ギターアンプは設置する場所/高さによりモニター環境が変わってしまい、パフォーマンスに影響します。それを解決したのが、本体底部に装備されたネジ式のチルトスタンドです。工具もいらず手軽にネジをくるくると回すだけでスタンドが出現し、本体を好みの角度で傾けることができます。また、別売りのSA-2スタンドアダプターを使用すれば、PA/スピーカースタンドに装着できるので、モニターしやすい高さに設置できます。
 

●アコギはもちろん、ファンタム電源を装備したマイクインプットも用意
 
様々なインプットに対応
本機は、2チャンネルともそれぞれコンボ端子が装備されているので、1チャンネルにエレアコ、2チャンネルにボーカル用マイク、というようなセッティングができます。また、個別にファンタム電源が装備されているので、片方のチャンネルのみファンタム電源を使いたいときに便利です。たとえば、宅録でボーカルとギターを同時に録音するような場合、1チャンネルはボーカル用としてコンデンサーマイクを接続し、2チャンネルはエレアコを接続する、という場面でも対応できます。
 

●ライン/Bluetoothの入力に対応した多彩な再生環境を実現

ライン
Bluetooth入力
本機は、MP3などの再生装置をダイレクトに接続できる「LINE IN」と、スマホやタブレットなどとワイヤレスで接続できる「Bluetoothオーディオ」も装備しています。ライブなどで、あらかじめ作成したバックトラックに合わせて演奏する際に、別途ミキサーなどを用意せずに済み、しかも手元で再生操作ができるので大変便利です。

 

●パソコン/スマホに直接録音できる「USB AUDIO」端子を装備

USB AUDIO写真1
USB AUDIO写真2

本機の「USB AUDIO」端子とコンピュータやスマホをUSBケーブルで接続するだけで、そのままUSBオーディオインターフェイスとして録音できます。ライブパフォーマンスをそのままDAWソフト等に録音できるのはもちろん、宅録の際に、本機でエレアコやボーカルを好みの音にしたうえでDAWのトラックに直接録音できます。
 

●PA/レコーディングミキサーに出力を送れる「D.I OUTPUT」、各チャンネルにエフェクトをかける「EFFECT LOOP」を装備

PA/レコーディングミキサー、ダイレクトに出力を送れるD.I OUTPUT、各チャンネルにエフェクトをかけるEFFECT LOOPを装備

本機で調整した音をPA/レコーディングミキサーに送る「D.I OUTPUT」は、各チャンネルを個別に出力できるだけではなく、2つのチャンネルをミックスして出力することもできます。例えば、ライブでは本機で調整したバランスでミックス信号をそのままPAに送る、あるいはレコーディングで個別にミキサーやオーディオインターフェイスに送り独立したトラックに録音するなど、さまざまなシチュエーションに対応できます。また、「EFFECT LOOP」は、チャンネルのインサート用に使えるので、例えば、ボーカルだけにコンプをかけたい、というようなときに便利です。
 

●高音質なリバーブを4タイプ内蔵

高音質なリバーブを4タイプ内蔵

内蔵リバーブは、4タイプ(HALL、STUDIO、CHAMBER、PLATE)から選択でき、さらにリバーブタイムも調整可能です。リバーブ量はチャンネルごとに設定が可能なので、例えばボーカルにはたっぷり、エレアコはドライ気味に、というようにそれぞれ設定が可能です。さらにフットスイッチ(FS-17)でリバーブのオン/オフができるので、ライブの際、演奏中はオンにして、MCではオフにするということが足元で操作できます。
 

●独立した2チャンネル設計

独立した2チャンネル設計

本機は、GAIN、3バンドEQ、リバーブ量の設定が完全に独立した2チャンネル設計になっており、チャンネル同士が干渉しないのもポイントです。例えばボーカルはEQのLOWをたっぷり効かせパワフルなサウンドにして、エレアコはナチュラルさを活かしつつEQでHIGHをブーストしてアタックを強調したシャープなサウンドにするなど、各チャンネルで柔軟にサウンドメイクをしていくことが可能になっています。

 

トクマルシューゴさんのオススメのアンプセッティング例


アンプセッティング例1
(1)Sonnet 120のナチュラルさを活かす
Sonnet120が文字通り「ナチュラルなアンプ」ということを証明するようなセッティングで、EQをフラットな状態にするだけで、クリーンかつウォームなアコギサウンドを得られる。まずはこのフラットなセッティングの状態で、HIGHPASS FILTERとBRILLIANCEでイメージするサウンドを作ったという。ちなみにハイパスは少しさげ、ブリリアンスはやや上げたのが好みだとのこと。この状態でREVERB TYPEでCHAMBERをチョイスし、うっすらとかけることでふくらみを足している。

 
アンプセッティング例2
(2)ギターの特性にあった音作り
アンプ自体にはまったくクセがないので、ギター本体の個性によってEQを調整すると音が作りやすいという。例えば、ギターのボディが薄いタイプの場合、ピエゾピックアップの特性を最大限に活かすために、(1)の状態からローを少し足したセッティングにする。こうすることで太く、かつストロークプレイに向くサウンドになり、しかもアタックやピッキングのニュアンスを出しやすい。ブライトな味わいの中に低域の「芯」が存在することで、シャープでガッツのあるサウンドにできるのだ。

 
アンプセッティング例3
(3)バンドサウンドの中でアコギを前に出す
エレアコはバンドアンサンブルの中に入ると、楽器の特性上どうしても埋もれ気味になってしまうのだが、かといってボリュームを上げるとハウリングを起こしやすいのも事実だ。そんなときに便利なのがこのセッティングで、大胆にLOWをまったくの0にし、ハイパスとブリリアンスを最大にする。パラメーターだけを見るとかなりクセのある音になりそうだが、実際に鳴らしてみるとアコギらしさを失わず、しかもンサンブルの中でも主張できる音になっているのがわかるはずだ。

 

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製品情報

Blackstar「Sonnet 120」
価格:メーカー希望小売価格(税抜):70,000円
カラー:ブラック/クリーム(アイボリー)

Blackstar「Sonnet 120」クリーム(アイボリー)
▲クリーム(アイボリー)

 

Blackstar「Sonnet 120」ブラック

▲ブラック
 



◼︎スペック

・120W、8インチ・スピーカー×1+ツイーター
・Bluetooth オーディオ対応
・マイクとインストゥルメントチャンネル個別でEQとアンチ・フィードバック、リバーブレベルが調節可能
・スタジオ・クォリティのリバーブ
(ホール、プレート)を内蔵
・ハイパス・フィルター
・ブリリアンス
・各チャンネルにエフェクト・ループ端子を装備
・USBオーディオ・アウトを装備
・XLR D.I. output for each channel and mix
・MP3/Lineイン
・フットスイッチ端子
(オーディオ・ミュート、リバーブのオン/オフ)
・チルトバック・スタンド


 

トクマルシューゴトクマルシューゴ
 

様々な楽器や非楽器を用いて作曲・演奏・録音をこなす音楽家。2004年NYのインディレーベルより1stアルバムをリリース、各国のメディアで絶賛を浴びる。以降、国内外ツアーやフェス出演、映画・舞台・CM音楽制作など幅広い分野で活動し、近年はNHK Eテレ『ミミクリーズ』の音楽も手がけている。2016年、4年ぶりとなるアルバム『TOSS』をリリース、2017年には吉祥寺・井の頭恩賜公園100周年を記念する映画『PARKS パークス』の音楽監修、最新アルバムの海外リリースや公演などを敢行。2018年、自身初となるオーケストラとの共演コンサートを開催、その模様を収めた映像作品をリリース。2019年12月には予てから交流を重ねてきたケルト音楽を演奏する 3 人組John John Festivalとのコラボレーション・シングル「こえになる」を、4枚のコースター付き8cmCDという仕様でリリース。今年2020にも様々な形態でのライブ演奏や楽曲制作を行う傍ら、いしいしんじ原作、ウォーリー木下演出による音楽劇「プラネタリウムのふたご」の音楽を担当することが決定しているのに加え、6月には3年ぶりとなる自身主催のフェス『TONOFON FESTIVAL』の開催するなど、ますます活動の幅を広げている。
https://www.shugotokumaru.com/

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