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トクマルシューゴ「Canaria」インタビュー(360度のVRアニメーションと共に表現した、まさに世界初の試みとも言える「音&映像」作品)

トクマルシューゴ「Canaria」インタビュー(360度のVRアニメーションと共に表現した、まさに世界初の試みとも言える「音&映像」作品)

2020/07/03

あらゆる楽器を自在に操り、唯一無二の「自室録音=ベッドルーム・ポップ」作品で世間を驚かせてきたポップ・マエストロ、トクマルシューゴさん。彼が約4年ぶりに発売したデジタル・シングル「Sakiyo No Furiko」に続き、「カナリア(鳥)」をフィーチャーした新曲「Canaria」を6月7日にリリースした。今作はトクマルシューゴさんが見たという “カナリアの夢の世界観” を、なんと360度のVRアニメーション(ミュージックビデオ)と共に表現した、まさに世界初の試みとも言える「音&映像」作品だ。ここでは、楽曲が生まれたきっかけや、VRアニメーションを手掛けたゆはらかずきさんとのやり取り、制作ツールに関する話などをじっくりと聞いてみた。ファン必見のインタビューだ。

取材:東 徹夜(編集長)


──まずは「Canaria」が生まれたきっかけから教えて頂けますか。

トクマルシューゴ:この曲は大昔に作った曲と、新しい曲をくっ付けて出来たもので、実は原曲のモチーフは小学生の頃からあったんです。僕は夢をよく見るんですけど、小さい頃から鳥、特にカナリアの夢を見ることが多くて。で、その見た夢を「夢日記」にも書いているんですが、今回はその夢を発展させてミュージックビデオと共に表現できたらなと思ったんです。

──そのミュージックビデオはすでにYouTubeで公開されていますが、なんと360度のVRアニメーションなんですよね。

トクマルシューゴ:はい。この「Canaria」の世界観を表現するにあたって、ずっと理想を思い描いていたんですけど、ちょうど昨年札幌のアニメーション映画祭で「ゆはらかずき」君に出会いまして。彼は世界で唯一といってもいい「手描きのVRアニメーション」を作成してて、僕としては「とんでもないやつを見つけたぞ」みたいな感じだったんです。で、実際に話しをしてみたら、僕のやりたいことにもリンクしてくれて。それで「よし、この人に任せよう」という流れになりました。

──具体的には、どのような要望をゆはらさんに出されたのですか?

トクマルシューゴ:基本的には曲のイメージを伝えただけです。それで「じゃ、こうやったら良さそうですね」と彼も言ってくれて。僕も彼の作品を見ていたので、おそらく何をやってもうまくいくだろうなという予感はしていました。

──実際に、ゆはらさんの作った「Canaria」の映像はいかがでしたか?

トクマルシューゴ:まさにこれだという感じでしたね。360度なので普通のアニメーションよりも大変なんですけど、それを半年くらいでやってくれて。意外と違和感なく見られると思うんですけど、こんなことをやっている人は今までどこにもいないですし、本当に良いものができたなと。

──「老いゆく一羽のカナリア〜」と始まる歌詞とはいい意味で真逆な、ポップな色使いの映像ですよね。

トクマルシューゴ:そうですね。僕の作る曲は、サウンドは明るいんですけど歌詞はわりと全部暗いんですよ(笑)。でも、そのカラフルな曲のイメージにとてもマッチしていると思います。

──この楽曲は、歌詞と曲はどちらから先に作られたのですか?

トクマルシューゴ:同時ですね。

──楽器としてはアコギを持ちながら?

トクマルシューゴ:いえ、その辺にあるものを使ってという感じです。ギターやピアノだとどうしても手グセが出てきちゃったりしますし、それ以外の楽器の方が新しい音を生み出せる傾向が強いと思います。ただ、どうしてもギターの方が曲にしやすいというのはあるので、新しい楽器で発想を得て、最終的にギターでというやり方ですね。どちらかと言えば、僕の場合は鼻歌を曲にしていくイメージに近いかな。

──楽曲を作る際は、いわゆるデモテープのようなものは作るのですか?

トクマルシューゴ:作らないですね。デモという考え方はなくて、とりあえず録音して、それを繰り返しながら完成系に近づけていきます。なので、最初の段階では人に聴かせられるようなものではないんですよ(笑)。そこから徐々にクオリティを上げていって。それで整頓したい時には譜面に起こすという感じです。

──最初にとりあえず録音してみるという場合は、ツールとしては何を?

トクマルシューゴ:ProToolsとかLogicです。

──トクマルさんは、宅録歴は長いのですか?

トクマルシューゴ:そうですね。カセットデッキから始まって、MTR、ハードディスクレコーダー、パソコンでの録音という歴史を歩んできてます。

──現在、ProToolsやLogicを使われている理由というのは?

トクマルシューゴ:特に大きな理由はないです。それ以外は使えないです。

──ちなみにオーディオインターフェイスは何を?

トクマルシューゴ:インターフェイスはUAD「Apollo Twin」です。でも、プラグインなどは特に使っていなくて、普通に録るだけです。

──「Canaria」で使われている音は、すべて生楽器なのですか? それともソフト音源なども使ったり?

トクマルシューゴ:ソフト音源は使っていないですね。音源を使う場合は、例えば試しに譜面に起こしたものをトランペットで鳴らしてみるとか、あくまでも確認用です。なので、確認した後は生楽器でもう一度録り直します。

──あくまでもソフト音源はシミュレーション用なのですね。

トクマルシューゴ:はい。

──では、今回の「Canaria」で、特に活躍した生楽器について教えて下さい。

トクマルシューゴ:いっぱいあるんですけど、ピアノ、アコースティックギター、エレキギター、ベース、チェロ、バイオリン、アコーディオン、のこぎり、フルート、オーボエ、クラリネット、バンジョー、ソプラノサックス、バンブーサックス、トランペット、トロンボーン、鉄筋、トイピアノ、竹琴、ピアノ、スチールパン、木琴、ガムラン、ピアニカ、ドラム、パーカッション、アナログシンセ、拍子木、オモチャとか。

──アコースティックギターは、どこのメーカーの製品を?

トクマルシューゴ:いくつかあるのですが、ヤイリ、マーティン、モーリスです。これらを重ねることで、ステレオ感というか、わりとリッチな音になってくれるんです。

──エレキギターは何を?

トクマルシューゴ:ストラト、テレキャスを、VOXの小さいオモチャみたいなアンプに通して。最近はこれが多いですかね。

──生楽器を録る場合、どのようなマイクを立てることが多いのですか?

トクマルシューゴ:例えばアコギを録る場合は、トーンフレークのT47SやロイヤーのR-121。あと、ゼンハイザーのクジラ(MD421)も低域を録るために立てることが多いですかね。

──トクマルさんの歌を録る際のマイクは?

トクマルシューゴ:歌もトーンフレークのT47Sか、ノイマンのU87が多いですかね。

──「Canaria」では「のこぎり」も使っているのですね。

トクマルシューゴ:はい。

──のこぎりって、どうやって使うのですか?

トクマルシューゴ:「ひょーん、ひょーん」って(笑)。今回の「Canaria」では途中のソロの部分でガッツリ入ってますよ。

──「のこぎり」は、普段からもよく?

トクマルシューゴ:わりと使いますね。

トクマルシューゴさん自宅制作ルームトクマルさんのプライベートスタジオの様子。

 

──その他、使用した楽器に「オモチャ」というのがあるのも気になりますが。

トクマルシューゴ:オモチャの楽器もよく使うんですよ。この写真だと3つくらいしか見えませんけど、実は4段のが2つの計8つの白いケースがあって。その中はみんなオモチャの楽器ですから。

──オモチャの楽器は雑貨屋さんで見つけたり?

トクマルシューゴ:はい。そういったお店でもかなり買ってますね。

──トクマルさんと言えば、ギター、ピアノ、ドラムとなんでもプレイされるとお聞きしましたが、そもそも全部独学なのですか?

トクマルシューゴ:いえ、ピアノだけは習いました。小さい時に友達がやっているのを見てカッコいいなと思って。自分もやりたいって親に頼んで習いました。

──トクマルさんの中で、一番得意な楽器というのは?

トクマルシューゴ:どうだろう。やっぱりギターですかね。

──トクマルさんは、歌詞に関してはどのように浮かぶことが多いのですか?

トクマルシューゴ:実は最初にもお話しように、僕は「夢日記」を書いているんですよ。なので、その日記から持ってくることが多いんです。例えば「Canaria」の「溶けてく氷ガラスのフチの水滴が テーブルクロスを濡らし夏の逃げ水に」というのは、夏のかき氷を見ていたら、だんだんと蜃気楼になっていったという夢が元になっています。

──夢日記の中には、面白いネタがかなりたくさんありそうですね。

トクマルシューゴ:そうですね。中学くらいからやっているんで、20年分くらいのネタはあります。

──それだけあると、夢日記の中に何があったかを覚えておくのも大変そうですが。

トクマルシューゴ:そうなんですよ。同じやつを使っちゃったりするんですよ(笑)。

──同じ夢を見ることもありそうですしね。

トクマルシューゴ:はい。

──ちなみに最近よく見る夢は、どんな内容なのですか?

トクマルシューゴ:最近は謎の食べ物が出てくるんですよ。で、それを食べさせられるという夢で。

──謎の食べ物って?

トクマルシューゴ:CMという設定なんですけど、「創作料理みたいなものを開発してみたんで、食べてみませんか?」みたいな。

──それ美味しいのですか?

トクマルシューゴ:いや、全然美味しくない(笑)。

──では、いつかそんな歌詞の曲が生まれるかもしれないですね。

トクマルシューゴ:そうですね。でも、商品名なんかも言ってたので、それは夢日記に書いておきました。
 

──さて、トクマルさんといえば、先日「Sakiyo No Furiko」もリリースされたばかりですが、こちらの楽曲についても教えて下さい。「Canaria」と比べると、わりとアップテンポな感じの楽曲だと思いますが。

トクマルシューゴ:そうですね。アップテンポでメロディー重視というか、構成もシンプルな楽曲になっていると思います。単純に、自分自身でいい曲を作りたいと思って。

──たしかに、ここ最近はコラボレーションものが多かったですよね。

トクマルシューゴ:はい。前作を出したのが2016年なんですけど、その時もいろんな人の演奏をかき集めてアレンジしたものでしたし。なので、4年前の時も自分で作ったというよりは、リミックスして作った感じが強かったんですよね。

──では「Sakiyo No Furiko」は、久々に完全なオリジナルという形で?

トクマルシューゴ:はい、完全にオリジナルの新曲ですね。

──コロナの問題で世の中も一変した感がありますけど、トクマルさんとしては、この「Sakiyo No Furiko」や「Canaria」をどのように聴いてもらいたいと思っていますか?

トクマルシューゴ:特に強いメッセージはないんですけど、ミュージックビデオと共に見てもらって、日常の中でちょっとでも心に何か変化が起きたらいいなとは思っています。そもそも音楽自体、完璧な世界だったら必要ないと思うんですよね。完璧じゃない、こういう世界だからこそ価値が出てくるというか。ユートピアを音楽に求めていると思うんです。僕も根本的には、そういった音楽を作りたいと思っているし、もっと言えば「なぜ人間は音楽を作り出したのか」という疑問をいつも持ちながら創作しています。とにかく、僕の作った音で、何か心が動くきっかけになったらと。

──今後はライブ活動などはどのような形で?

トクマルシューゴ:実は6月7日に、YouTubeでいろんなミュージシャンを集めてリモートでの配信フェスをやったんですが、実際にやってみるとまたひとつ可能性が広がったなという感触がありました。僕としては、そもそもコロナの問題があったからとか、なかったからという理由ではなく、こういう新たな取り組みもどんどんやっていこうと思っていて。なので、今後はお客さんを集める、集めないは状況次第ですけど、ライブ自体は今まで通りやっていけたらと思っています。VRミュージックビデオにも注目してもらいたいですけど、ライブにも期待してもらえたらと思います。



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トクマルシューゴ=プロフィール

様々な楽器や非楽器を用いて作曲・演奏・録音をこなす音楽家。2004年NYのインディレーベルより1stアルバムをリリース、各国のメディアで絶賛を浴びる。以降、国内外ツアーやフェス出演、映画・舞台・CM音楽制作など幅広い分野で活動し、近年はNHK Eテレ『ミミクリーズ』の音楽も手がけている。2016年、4年ぶりとなるアルバム『TOSS』をリリース、2017年には吉祥寺・井の頭恩賜公園100周年を記念する映画『PARKS パークス』の音楽監修、最新アルバムの海外リリースや公演などを敢行。2018年、自身初となるオーケストラとの共演コンサートを開催、その模様を収めた映像作品をリリース。2019年12月には予てから交流を重ねてきたケルト音楽を演奏する 3 人組John John Festivalとのコラボレーション・シングル「こえになる」を、4枚のコースター付き8cmCDという仕様でリリース。今年2020にも様々な形態でのライブ演奏や楽曲制作を行う傍ら、いしいしんじ原作、ウォーリー木下演出による音楽劇「プラネタリウムのふたご」の音楽を担当することが決定しているのに加え、6月には3年ぶりとなる自身主催のフェス『TONOFON FESTIVAL』の開催するなど、ますます活動の幅を広げている。
https://www.shugotokumaru.com/

 

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