マイクやパワーアンプモデル、リバーブエフェクトも搭載

ペダル型のIRキャビネットシミュレーター「BINARY IR CAB」をプロがレビュー!

ペダル型のIRキャビネットシミュレーター「BINARY IR CAB」をプロがレビュー!

2018/07/13


オープンプライス(¥18,000前後)
問:オールアクセスインターナショナル㈱
support@allaccess.co.jp
http://allaccess.co.jp

文:青木征洋(ギタリスト、作曲家/ViViX)

※本コンテンツは音楽雑誌「サウンド・デザイナー」(2018年8月号)より抜粋したものです。詳しくは、http://www.sounddesigner.jp/をご覧ください。

 

アンプの設定からマイキングまで1台で完結できる
ペダルタイプのIRキャビネットシミュレーター

 
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「BINARY IR CAB」は、独自のモデリングテクノロジー「CDCM」を駆使して開発された、ペダル型のIRキャビネットシミュレーターだ。100種類のギター/ベース用キャビネットモデルと10種類のマイクモデル、8種類のパワーアンプモデル、さらにリバーブまで内蔵している。また、本体にUSB端子を備えており、専用のエディターソフトと組み合わせることで、プリセットや各種パラメーターの設定が行なえる。



「BINARY IR CAB」は、IRファイルを用いたキャビネットシミュレーションのクオリティと利便性を、ストンプペダルのサイズに落とし込んだ製品です。

本機の特徴は、大きく分けて4つあります。まず1つ目は、専用エディタソフト「Binary Editor」を使って、パワーアンプ部の真空管をシミュレートできること。EL34や6L6、KT88などのパワー管を、シングルエンドやプッシュ/プルといった動作方式まで含めて選べるので、プリアンプに合わせた最適な音のレスポンスが得られます。リアクティブロードを経由したアンプヘッドの出力を使う場合は、エディタ上のPOWER AMPをオフにするといいでしょう。

2つ目の特徴は、マイキングを擬似的に変更できる点です。一般的にIRファイルは、マイクポジションと使用するマイクの数だけを収録するのがセオリーですが、本機では収録済みのIRファイルに対して、「X、Y、Z」の3次元軸でマイクを動かした時の音質の変化と、マイクの種類によるキャラクターの変化をシミュレートすることができます。自前のIRファイルの読み込みも可能で、その際はMIC TYPEをオフにして、MIC POSITIONはすべて「0」にするといいでしょう。

3つ目は、ルームアンビエンスのシミュレーション機能が入っている点。レコーディングでもライブでも、ミックスの質感や会場の響きに合わせたアンビエンス量の調節が、ペダル内で完結できます。

そして4つ目は、それらすべての機能が、Windows/Macのいずれのマシン上でもエディットできる点で、本機とUSBで接続すれば、全機能に素早くアクセスできます。もちろん、本体だけで操作を完結させることも可能です。

以上を踏まえると、本機はアナログアンプの音を、できるだけコンパクトな機材でライン出ししたい人にハマるペダルではないかと思われます。小規模の会場やインストアライブなど、アンプを持ち込めない時などにも重宝するでしょう。
 

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X、Y、Zという3つのノブが、ボリュームとローパスフィルターのような働きを持っており、読み込むIRファイルを切り替えることなく、マイキングによる音の変化を簡易的に再現することが可能だ。
 

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専用エディタソフト「Binary Editor」で、キャビネットとパワーアンプモデルの選択やマイキングの微調整が行なえる。自前のIRファイルの読み込みも可能で、音質は最高24ビット/48kHzに対応している。
 

●スペック

●コントロール:フットスイッチ×2(バイパス/ミュート、各種プリセットの選択)、ボリューム、マイクタイプ、マイクポジション(X,Y,Z)、±ボタン、グローバル、セーブ/イグジット
●音質:最高24ビット/48kHz
●入出力端子:インプット、アウトプット(以上標準フォーン)、AUXイン、ヘッドホンアウト、USB(ミニ)
●電源:DC9V
●外形寸法:72(W)×47(H)×121(D)mm
●重量:340g


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