作曲の手順とコツをレクチャー

初心者のための作曲法「第9回:コード進行を作ろう その5」

初心者のための作曲法「第9回:コード進行を作ろう その5」

2015/12/12


曲作りの基本を解説する連載「初心者のための作曲法」の第9回。今回も前回に引き続き、ヒット曲に見られるコード進行のテクニックをご紹介しよう。
 


01.マイナーキーの定番進行にメジャー7thを加えたポップなコード進行

マイナーキーの定番進行にメジャー7thを加えたポップなコード進行

参考曲:Perfume「Spring of Life」
ユニバーサルJ
UPCP-50011
 

マイナーキーにも3コードがあり、例えばキーが「Fm」なら「D♭」、「E♭」、「Fm」の3つを使う定番パターンになる。とても力強い進行なので、耳に残りやすいのだが、暗い曲調のハードロックやフォークで使われることが多く、やや哀愁が漂う雰囲気が出る。ただ、明るい曲に使いたい場合は、この曲のように「D」をメジャー7thにすることでポップな印象を与えることができる。
 

02.イントロだけに6thコードを使って進行を際立たせる

イントロだけに6thコードを使って進行を際立たせる

参考曲:いきものがかり「ハルウタ」
エピック
ESCL- 3875
 

少し曲のテイストを変えてみたい時は、5度のコードに6度の音を足してみよう。6thコードはギタリストにはあまりなじみがないかもしれないが、通常の3和音に比べてフワッとした曖昧な響きが得られる。この曲ではその6thコードをイントロのピアノとボーカルだけに使用してリスナーを耳を引きつけつつ、イントロの後は普通の3和音にして、印象がしつこくならないようにしている。
 

03.5度のコードをサビだけに挿入して切なさをアップする

5度のコードをサビだけに挿入して切なさをアップする

参考曲:サカナクション「僕と花」
ビクター
VICL- 36705
 

曲のキーが「Fm」の時、5度のコードにあたる「C」の音を入れると、やや昔のフォークソング調になり、少し古くさく聴こえてしまうことがある。そこで譜例のように、サビだけに絞って入れると、切なさが程良く醸し出される。この曲では「D♭M7」→「E♭」→「E♭」→「Fm」というコード進行を繰り返すのだが、サビだけに5度の「C7」を挟むことでグッと耳を引きつけることに成功している。
 

04.自然な転調でイントロからサビまでをまとめる

自然な転調でイントロからサビまでをまとめる

参考曲:Superfly「輝く月のように」
収録アルバム『Force 』
ワーナーミュージック・ジャパン
WPCL- 11108
 

転調を使うとセクションの展開をハッキリさせることができ、さらに使えるコードの種類が増えるので曲全体がカラフルになる。この曲ではイントロのキーが「A」で、Aメロではキーが「C」になり、またサビで「A」に転調する。その際、譜例のように「C」の直前にはCの5度の音である「G」の音を持ってくると、自然にキーが転調できる。「E」→「A」の部分も同じテクを使っている。
 

05.様々なタイプのコードを登場させてジャジーな雰囲気を作る

様々なタイプのコードを登場させてジャジーな雰囲気を作る

参考曲:東京事変「女の子は誰でも」
収録アルバム『大発見』
EMIミュージック・ジャパン
TOCT- 27070
 

CMソングにもなった東京事変のこの曲は、イントロを一聴しただけでジャズっぽい演奏形態になっているが、コード進行もジャズそのものと言っていい。特に9thの使い方が多彩で、「♭9」、「9」、「♯9」の3タイプが登場する。ジャズを弾き慣れていないとすぐにコードを押さえられないかもしれないが、1 つ1 つのコードを丁寧に鳴らしてみて、ジャジーな雰囲気を感じてほしい。
 


文:目黒真二

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