J-POPのヒット曲から学ぶ

アレンジ/編曲の方法を分析!(奥田民生「風は西から」)

アレンジ/編曲の方法を分析!(奥田民生「風は西から」)

2015/12/19


ここではロックからポップス、ダンス系まで、様々なジャンルのヒット曲を例に、それぞれのアレンジの耳を引くポイントを分析していきます。また、各ポイントのフレーズを試聴できるので、記事を読みながらアレンジのコツがつかめます。

※ここでは、すべての曲を「キ=Cメジャー」に置き換えて解説しています。また、メロディは参考曲にインスパイアされて作ったオリジナルフレーズです

ストレートなロックンロールの随所に工夫あり! (BPM=128)

「風は西から」は一聴するとイントロからエンディングまで軽快に突き進む8ビートのロックンロールナンバーですが、実はストレートに聴かせる部分と、しっかりと耳に残るように工夫をしている部分があり、そのメリハリの付け方が絶妙です。まずイントロからAメロのリフは、シンプルに聴こえますが、実は2本のギターで複雑なハーモニーを奏でています。また、Bメロではロックやポップスであまり使われない「m7(♭5)」というコードを使い、サビでは打って変わってストレートな響きで高揚させるという「複雑→違和感→ストレート」という流れを作っています。

イントロ&Aメロ 2本のギターを組み合わせて複雑なコード感を演出する(0:00~)

イントロ~Aメロのバックのコードは、「C→ F→ Am→ G」というシンプルな循環コードを5度のパワーコードで刻んでいるのですが、実はもう1本のギターで、そのリズムの合間にずっと「ソ」の音を入れています。そのことで、「F」が「Fadd9」に、「Am」が「Am7」に変化するのです。単純な循環コード進行も、このようにもう1パート加えるだけで味わい深いハーモニーに変身します。この曲では、キーであるCメジャーの5度にあたる「ソ」の音を使っていますが、1度(ド)、3度(ミ)、8度(オクターブ上のド)、7度(シ♭)なども試して、気持ち良く響くコード感を色々と探してみましょう。

リズム ストレートなリズム感を出すタンバリンのグルーヴ(0:16~)

複雑なことをやっているのにこの曲がストレートさを失わないのは、曲全体を通して入っている「タンバリン」がポイントになっています。ただ鳴らすのではなく、スネアと同じ2拍と4拍にアクセントが来るようにして、ドラムのシンプルな8ビートに60年代のロックバンド的なグルーヴ感を与えています。

Bメロ ちょっと違和感のあるコード進行でグッとこさせる(0:30~)

Bメロの「風は西から 強くなってゆく……」の箇所で、ロックやポップスではあまり使われない「F♯m7(♭5)」が出てきます。しかし、F♯m7(♭5)の構成音は「ファ♯/ラ/ド/ミ」で、メロディの「ミ」の音が7thの音と一致しているので、響きが新鮮でありつつも違和感がないのです。しかも、次のFmaj7は「ファ/ラ/ド/ミ」とほぼ構成音が同じで、ポジション的にはルート音を半音ズラすだけでOKです。このように少し変わったコード進行を作りたい時は、コードの構成音や押さえ方を工夫してみましょう。

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