作曲の手順とコツをレクチャー

初心者のための作曲法「第1回:曲の仕組みを知ろう」

初心者のための作曲法「第1回:曲の仕組みを知ろう」

2015/12/06


「オリジナル曲を作ってみたい」と思っても、どうすればいいのかわからないという人は多いだろう。しかし、「手順」と「コツ」さえわかれば、音楽理論を知らなくても簡単に曲が作れるのだ。本連載企画「初心者のための作曲法」では、そんな曲作りの基本をゼロから丁寧に解説していこう!


歌ものの楽曲は、曲の入口である「イントロ」から始まることが多い。イントロをハデに始めて一気にリスナーの耳を引き付けたり、静かに始めて徐々に盛り上げることで曲の世界に引き込んでいき、歌に入るというパターンが定番だ。J -POPの場合、静かな導入部の「Aメロ」と、サビへの期待を煽あおる「Bメロ」、盛り上がる「サビ」の3セクションで1コーラスを構成する曲が多く、さらに音の厚みを変えたり、歌メロの音域を変化させたりと、曲が盛り上がるように仕掛けを入れていく。

1コーラス目が終わると、「間奏」でひと息入れて2コーラス目へ進み、2コーラス目のサビの後は、「ギターソロ」などの見せ場や、ちょっと印象の異なる「Cメロ」を挟んでサビを繰り返す「大サビ」で曲のラストを飾る。最後の「アウトロ」(エンディング)は、キチンと完結させる以外に、余韻を残すようにフェードアウトしていくパターンもある。すべての曲がこの通りの展開ではないが、各セクションの役割を理解して曲を作る時の参考にしてほしい。
 

秦基博「初恋」を例に曲の流れを解説!

(収録シングル「初恋/グッバイ・アイザック」)
Ariola Japan/AUGUSTA RECORDS AUCL-112
作詞・作曲:秦 基博/編曲:亀田誠治
演奏時間:5分8秒

■曲の流れ

イントロ

Aメロの出だしを予感させる、2小節のパターンのコード進行を反復しながら静かに始まる。バックのアレンジを厚くしながら、歌への期待感を高めつつ展開している。

Aメロ

コード進行が下降→上昇を繰り返す8小節のパターンを2回反復する。ギターとピアノだけのシンプルな伴奏から始まり、2回目は軽くリズムを重ねて厚みを増している。

Bメロ

ボーカルの音域がやや上がり、Aメロよりもゆったりしたメロディやコード進行でジラしつつ、伴奏にはリズム隊がしっかり入ってサビに入るための下地が作られる。

サビ

シンコペーションするコード進行で躍動感を出しながら、Bメロよりもさらに音域を上げたメロディが4小節ひと回しで反復し、力強く印象的なサビを作り上げている。

間奏

サビの盛り上がりを軽くクールダウンさせるように間奏が入る。イントロ後半のアレンジに若干変化を加えた4小節パターンを挿入して、2コーラス目へとつなぐ。

Aメロ2

前半8小節は1コーラス目の後半と同じやや厚みを増したアレンジで始まる。後半8小節はしっかりとリズムを刻む伴奏に変わり、1コーラス目よりも力強く聴かせている。

Bメロ2

基本は1コーラス目と同じだ。8小節パターンの後半で上昇方向に変化し、派手なフィルインやギターのかき鳴らしを入れて、2回目のサビへの期待を高めている。

サビ2

こちらも1コーラス目のサビを踏襲している。この4小節パターンの歌メロは、曲中で最も高い音から下がっていくフレーズを反復させることで、力強く訴えかけてくる。

ギターソロ

ギターソロは、サビで高まったテンションを持続しながら展開していく。後半はBメロ以上に盛り上がる上昇方向のパターンとなり、大サビに向かう準備をしている。

大サビ1

再びサビが登場。基本的にはこれまでと同じ展開だが、曲のラストを飾る次の大サビ2に向かうため、最後は収束せずに先へ進むコード進行のアレンジになっている。

大サビ2

サビの最後の一節を発展させる形で展開する。単純なリピートではなく、重厚なリズム隊や上昇するコード進行など、伴奏を変えて広がりと厚みを感じさせている。

アウトロ

爽快感のある大サビから急にイントロの物憂げなパターンに落とすことでハッとさせる。コードは安定感のある「Bm」に戻らずに、不安定な「GM7」で切なく幕を閉じる。


 

文:平沢栄司

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