J-POPのヒット曲を大研究

「美メロの秘密」を探る!(いきものがかり「歩いていこう」風のメロディ)

「美メロの秘密」を探る!(いきものがかり「歩いていこう」風のメロディ)

2015/11/17


J-POPの大ヒット曲のメロディを取り上げて、そのカッコ良さの秘密を解き明かしていきましょう。ここでは、いきものがかり「歩いていこう」風のメロディを研究してみたいと思います。

※譜例は原曲のものではありません。

いきものがかり「歩いていこう」風のメロディ

 いきものがかりのヒット曲「歩いていこう」は、アコースティックギターのコードストロークのシンプルなバックに合わせてタイトルの「歩いていこう〜」というサビがオープニングから登場し、一気に曲に引き込まれます。その後、間奏を挟んでマイナー調のAメロ〜Bメロと展開し、再びメジャー調のサビの歌メロが開放感を高めてくれます。このドラマチックな展開は見事で、美しい歌メロが一層耳に残るようになっています。こういった展開作りはメロディを引き立てるうえでとても重要です。

収録あアルバム
『NEWTRAL』
エピック
ESCL-3829

【Aメロ】休符でタメてリスナーの関心を引く

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 Aメロのポイントは、1小節目&3小節目の1拍目の歌い出しに休符を入れているところです。最初からいきなり歌を投げかけるのではなく、少し“タメ”を入れて歌い出すことで、Aメロのしっとりとした雰囲気のメロディと相まって、一瞬息を吸って語りかけるように感じさせることができます。また、Aメロのメロディの流れを見てみると、1&2小節目と3&4小節目の2小節ずつでひと回しするような展開になっており、「終わりそうに思えて終わらない」という絶妙な展開を作って、自然と次の曲展開への興味を引くようになっている点にも注目です。


【Bメロ】雰囲気を変えてサビに続く盛り上がりを作り出す

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 「Aメロ→Bメロ→サビ」と展開していく楽曲では、BメロはAメロからサビへの橋渡しをする役割を果たす重要なセクションです。「歩いていこう」のBメロでは、前半はAメロの流れを受けつつも、Aメロよりも少しマイナー調の雰囲気を高めて新たな場面になったことを印象付けたうえ、後半はメジャー調で盛り上げていってサビにつなげる展開になっています。また、音程をじわじわと上げて期待を高めている他、最後2小節を「F(ファ)→D on F♯(ファ♯)→Gsus4(ソ)」とベースが半音ずつ上がる展開にしてサビでの盛り上がりを期待させるムードを作っています。


【サビ】タイトルを連呼するフレーズで印象を付ける

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 一歩引いた印象のAメロとBメロでじらされた気持ちがパッと開放されるような、清々しい気分にさせられるのが印象的なサビです。この部分は小節線をまたぐ前倒しのフレーズになっており、曲のタイトルでもある「歩いていこう」(「・」の部分が小節線をまたぐ部分)を声を張って高い音程で繰り返し歌うことで、楽曲全体をグイグイと引っぱっていくような力強いメロディになっているのが特徴です。また、言葉のリズムを活かしたシンプルなフレーズを何度も繰り返すことで、リスナーに歌詞や言葉の印象を強く刻み込むことができます。


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