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サカナクション「アルクアラウンド」を解説
【ヒット曲から学ぶ作曲テク その5】

サカナクション「アルクアラウンド」を解説【ヒット曲から学ぶ作曲テク その5】

2015/10/01


こちらのページではJ-POPのヒット曲を例に、その曲に隠された作曲テクニックを紹介する。「Aメロ/Bメロ/サビ」のそれぞれからオイシイ箇所をピックアップしているので、これを読んで曲作りに役立ててほしい。今回はサカナクション「アルクアラウンド」を取り上げて解説していく。

参考曲:サカナクション「アルクアラウンド」


 

 4つ打ちとシンセサウンドにギターロックを融合させたスタイルで、シーンに大きな影響を与えたサカナクションの代表曲のひとつ。まずはシンプルなアレンジのAメロが予告編的に始まり、その後イントロに入るという変則的な立ち上がりが面白い。全体的に淡々と歌うボーカルでクールに貫き、エンディングに向かうところにも大きな展開はなく、サビを延々と繰り返した後に終了させるという締め方が独特だ。パート数による音の厚みやリズムの変化などでメリハリを上手に付けている点も参考にしたい。


 

 解説その1:Aメロ

※KEY=CメジャーまたはAマイナーの調で解説しています。
 

シンプルなメロディを淡々と反復してクールさを演出!

 Aメロは音程の動きを極力少なくして、淡々と語るように歌うフレーズが特徴だ。コードが変わっても2小節単位で同じメロディを反復しているのが特徴で、フレーズの最後の音程を上げて問いかけるような2小節目ラストに対し、4小節目の最後では音程を下げることでそれに応えるような効果を作っている。また、シンコペーションを多用して淡々とした中にも躍動感を出し、曲が平坦になることを防いでいる。これらが計算して作られたフレーズかどうかは不明だが、最小限の動きで大きな効果を得ている。


 解説その2:Bメロ

コード進行はAメロと同じまま、メロディを変えて違いを出す

 BメロはAメロと同じコード進行のまま展開しており、メロディのフレーズに変化を付けることでサビへとつながる流れを作っている。 参考曲では同じメロディを3度上に上げて歌ったり、2小節単位で反復したAメロに対して4小節単位のフレーズにしつつ、コードチェンジもシンコペーションさせることで、非常にアクティブな印象を加えている。ここではBメロとして扱っているが、このパターンはAメロを繰り返す場合の2順目のアイディアとしても使えるだろう。
 


 

 解説その3:サビ

素直なコード進行から外すことで耳に刺激を与える

 サビはダイアトニックコード以外のコードを使い、驚きを与えている点に注目したい。例えば、前半「Am→ F→ C」の後は、「G」か「Em」がくると落ち着くのだが、あえて「E」を持ってくることでリスナーに刺激を与えて、曲をグッと引き締めている。同様に後半の「F→ C」の後は「Dm」に進むと安定するが、「Fm」というクセの強いコードにして印象的に締めている。ここでのダイアトニックコード以外のコードの使い方は、曲作りのマンネリ脱却に大いに役立つが、使い過ぎたり使いどころを間違えると、ただ気持ち悪いだけの曲になるので気をつけよう。

 サビの後半4小節は、ダイアトニックコードを主体に考えると、最終的に「Cメジャー」に落ち着く感じが予想できるが、「Fm」にすると次の展開が予想できなくなり、刺激的な感じになる
 


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